2022年3月25日金曜日

薫風58号

薫風58号

大島かおるの市議会リポート
2022年3月10日
次世代へと引き継ぐ「礎(いしずえ)」をつくる
―市制施行100年から未来へ―
災害級ともいわれる積雪とオミクロン株による新型コロナ感染の急拡大の中での2022年、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
今年は市制100年。1972年の冬季オリンピック開催や政令指定都市への移行を機に大きく飛躍し、197万都市へと発展をした札幌市も大きな転換点を迎えようとしています。インフラの更新、自然災害や感染症など様々な危機の発生、脱炭素社会の実現など、様々な課題への対応が求められる中、秋元市長は任期の最終年度を迎える本年の年頭に当たり、今年一年を象徴する漢字として「礎(いしずえ)」を掲げて、決意を示しました。
今後10年間の新たなまちづくりの指針となる「第2次札幌市まちづくり戦略ビジョン」の策定も始まりました。
都市の魅力度をはかる調査は様々ありますが、各種の「住みたい街ランキング」で常にトップ10に入る札幌の街を、確実に次の世代へと引き継いでいく土台作りに、議論を重ね力を合わせていきたいと思います。


ポストコロナを見据えて

2月15日に開会した第1回定例会に提出された予算案(令和3年度札幌市予算案)は、一般会計で1兆1616億円。対前年比4・3%増と、過去最大となりました。
その要因としては、毎年増加している子育て世帯や障がい児・者への支援の充実のほか、新型コロナに対する医療提供体制の強化と感染拡大防止のために360億円が計上された保健福祉費で523億円、12・3%増となったこと。経済活動の回復に向けて、市内宿泊促進キャンペーンや公共交通需要喚起支援などに100億円を計上したことが挙げられます。
また産業振興では、企業立地や創業支援、IT人材の育成、中小企業のデジタル化などに11億円。ゼロカーボン都市推進に向けた水素エネルギー利活用や再生可能エネルギーの利用促進、市有施設のゼロエネルギー化などに23億円。街の魅力を高める都心の再開発事業や札幌ドーム活用に82億円が重点化されました。
市民サービスの拡大では、複合的な福祉課題に対応する支援調整室を東区と北区にモデル区として新設。総合案内とおくやみ窓口を全区に拡大するほか、デジタル戦略推進局が新設され、待ち望まれていた公立夜間中学「星友館」が4月に開校します。
また、新型コロナ感染症対策における現行体制を継続するために46人、児童相談所と各区家庭児童相談室の体制強化に27人などの職員定数増も図られます。
これに伴って、2018年12月に公表された「中期財政フレーム」との比較では、財政調整基金の活用額は当初フレームから19憶円下回る82憶円で、残高は138億円。市債残高見込みは365億円下回る1兆1529億円となりました。
事務事業の見直しなどの財政効果も161億円を見込んでおり、今後の継続的な取り組みが必要です。

提案説明をする秋元市長

目指す都市像とは
札幌のまちづくりはこれまで、少子高齢化と人口減少、社会保障費など財政負担の増加、多様性を尊重する共生社会の実現を重点課題として取り組んできました。
現在策定中の、今後10年のまちづくりの基本的な指針となる「第2次札幌市まちづくり戦略ビジョン」では、新たに「日常としての感染症対策」「地球規模で拡大する気候変動」「デジタル技術の急速な進歩」などの変化に対応し、SDGsの視点を踏まえた都市づくりが必要としています。
札幌は、年間5mもの「ゆき」が降る地域に190万人が暮らす、世界でも稀な都市とされています。そして、豊かな「みどり」に包まれています。その大地の中で、自然の恵みと共に暮らしてきた人たちと日本各地から移り住んだ人たちが、多様な「人」がつながる風土をつくり上げてきたといえます。
このような特徴から、目指すべき都市像を『「ひと」「ゆき」「みどり」の織りなす輝きが、豊かな暮らしと新たな価値をつくる、持続可能な世界都市・さっぽろ』としました。
さらに、まちづくりの重要概念として「誰もが互いにその個性や能力を認め合い、多様性が強みとなる社会=ユニバーサル(共生)」「誰もが生涯健康で、学び、自分らしく活躍できる社会=ウェルネス(健康)」「誰もが先端技術などにより快適に暮らし、新たな価値の創出に挑戦できる社会=スマート(快適・先端)」の三つを掲げています。

会派の仲間と高知市民図書館を視察

冬季オリ・パラ招致を巡って
中国・北京で開催されていた冬季オリンピック、世界のアスリートたちの活躍は多くの感動を残して終了し、3月4日からはパラリンピックが開幕しました。
2030冬季大会の招致を目指す札幌市は、昨年11月に「既存施設を最大限活用する」新たな大会概要案を示し、3月上旬からは郵送、インターネット、街頭の3つの方法で、道民・市民1万7500人を対象に意向調査が実施されます。
招致活動を巡っては、2014年11月に当時の上田文雄市長が2026年大会の招致を表明。17年11月に国際オリンピック委員会(IOC)の第1次選考過程に参加しますが、18年9月に発生した胆振東部地震により30年大会に方針を転換。20年1月にJOCが国内候補地に決定し、今年度中には第2ステージに移行して開催地決定がされるのではないかといわれています。
五輪に対するイメージは昨年の東京2020を経て一変しました。五輪開催の意義そのものや巨大メディアに支配されるIOCに対する批判、開催経費や意思決定を巡る組織委員会への不信、コロナ禍のもとで開催する不安など、マイナス評価には根強いものがあります。
しかし、転換期にある今だからこそ、秋元市長が「市民の力を結集し、まちづくりを加速させる。共生社会の実現や気候変動対策などの課題解決に挑戦する札幌を世界に発信する」と繰り返し訴えているように、これからのまちづくりや札幌の未来をどのように想像するのか、単純な賛成反対を超えた議論が求められているのではないでしょうか。
冬季オリ・パラの招致、開催はゴールではありません。

永遠の課題№1《雪》
今冬の「記録的」「災害級」といわれる積雪量、自衛隊の災害出動を要請した1996年を思い起こした方も多いのではないでしょうか。
 12月のドカ雪に始まって、1月中旬には湿った雪が3日間降り積もり、2月は2度にわたって24時間降雪量が50センチ越え。幹線道路の除排雪や拡幅が追いつかないうちに次の豪雪に襲われ、JRやバスなどの公共交通も止まり、日常生活にも大きな影響を与えました。生活道路の除雪やパートナーシップ排雪は、後回しにせざるを得ない状況です。
札幌市の車道延長は約5400㎞、稚内と鹿児島間の往復に匹敵します。今年度の雪対策費は当初予算で214億円。2度の補正予算で67億円、22億円と積み上げて過去最高の303億円となりました。
一方、近年は今後の除雪体制を維持するうえでの新たな課題が浮き彫りになってきました。
一つめは、雪堆積場の確保が年々困難になり郊外まで運ばなければならない。
二つめは、そのため排雪の効率が悪くなる一方、公共工事の減少で大型ダンプの台数も減少している。
三つめは、主に深夜にかけての作業になるため重機オペレーターや要員の高齢化が進み、労務単価や機械損料が高騰している。
四つめは、高齢世帯の急増で間口除雪など生活道路除雪の見直しを迫られている。
このような課題に対応するために「ゆきだるマンプロジェクト」「事業発注の夏冬一体化」「地域とつくる冬みち事業」などの取り組みを重ねてきた札幌の雪対策は、現在10年計画である「冬のみちづくりプラン2018」が進行中です。
道路状況が悪いと「市長が悪い」「業者は何してる」との苦情殺到が常ですが、毎年止むことなく、昼夜を分かたずに雪と格闘する職員や業者の皆さんにまずは感謝を‼

無縁社会の終活とは
家族が地域社会の中で中心的な役割を果たしていた時代には、老後の生活、介護、相続、葬送などは、「長男」を筆頭にした血縁によって支えられてきました。
しかし今、人が人生の終わりに向かうにあたっての準備や整理を行う「終活」が注目を集めています。人生100年時代といわれる長寿社会は、単身高齢者や高齢夫婦世帯の増加、家族関係の変化などにより、高齢者の孤立や終活に否応なく向き合わなければならない社会でもあります。

また、札幌市の調査によると、終活に関して7割以上が「人生をよりよく過ごすことにつながる」と回答していますが、実践しているのは2割強であり、不安はあってもなかなかきっかけがつかめない、難しいという現状がうかがえます。

終活の最終地点ともいえる「火葬場・墓地」について、札幌市は2020年4月に「あり方基本構想」を策定し、その中に掲げるビジョン「みんなが尊厳ある葬送を実現できるまち」を具体化するための「運営計画」づくりを進めています。
重要課題として挙げられているのは、火葬場に関しては①火葬件数の増加②現状で最大1時間を超える待ち時間③里塚斎場の老朽化④施設整備や運用改善など。
墓地に関しては①墓石型から合葬墓などへのニーズの変化②無縁墓の増加③維持管理や回収費用の増加などです。

葬送に関する意識は、私たち団塊の世代と子どもたちの世代でも大きく異なってきています。私自身、遠い田舎にある先祖の墓をどうするか悩みの最中です。
今後、市民ニーズをより的確に把握するとともに、私たちがより身近な問題として考えることができるよう、積極的な情報提供と意識醸成に取り組むことが求められます。

ロシアの侵略は許さない

刻々と変化するウクライナ情勢。市民が砲火にさらされる日々の報道に胸が痛みます。札幌市議会は3月2日の本会議で以下の決議を全会一致で採択しました。

ロシア連邦によるウクライナ侵略を厳しく非難し、平和的解決を強く求める決議
本年2月24日から開始されたロシア連邦によるウクライナへの侵略は、国際社会の平和と安全を著しく損なう暴挙であり、ウクライナに拠点を持つ日本企業及び現地在留邦人も厳しい状況に置かれている。
このような力による一方的な現状変更の試みは、国際秩序の根幹を揺るがす明白な国際法違反であり、断じて許すことはできない。
本市では、人々が等しく平和に暮らせる世界の実現を願って平和都市宣言を行っており、ウクライナへの侵略はそのような市民の願いに反するものである。
よって、本市議会は、ロシア連邦によるウクライナ侵略を厳しく非難するとともに、国際法を順守し、軍の即時撤退と平和的解決を行うよう強く求める。
以上につき、決議する。 

◎寄付のお願い

UNHCR協会に直接寄付してください。
https://www.japanforunhcr.org/campaign/ukraine