2021年12月16日木曜日

薫風57号

大島かおるの市議会リポート

政治不信と未来への希望

―コロナの時代に生きる―
緊急事態宣言やまん延防止特別措置そして集中対策期間―長い長い「自粛」期間を経てようやく衆議院選挙と思いきや、直前、突然の首相交代。気がつくといつの間にか12月、冬の便りを聞く季節になりました。

昨年2月5日のダイアモンド・プリンセス号での感染判明からおよそ1年10カ月。新しいスタートへの熱気はあまり感じられませんが、多くの課題が議論の俎上に上り、政策決定の正当性が問われ続けました。支持率が急落する中での二人の首相の退陣は、コロナ対策「失敗」の責任を取ったということなのでしょうか?
ウィズコロナ、アフターコロナと言われる時代の中で、日本社会の構造的な問題が明らかにされ、矛盾が集中したのは非正規労働者であり、その中でも女性や学生、外国人労働者が大きな影響を受けています。そして子どもたちも置き去りになりました。今後の課題を探ってみたいと思います。

町田副市長に重度障害者のワクチン接種に関する要望書を提出

子どもたちは今
この数字を見ると、胸の締め付けられる思いがします。厚生労働省によると、20年度中の全国の児童相談所が対応した児童虐待相談件数は過去最多の20万5029件。文部科学省の調査では、同年度に自殺した小中高生は過去最多の415人、うち女子高校生は前年度から倍増して131人。

親の経済状況の悪化やテレワークと子どもの休校措置や短縮授業が重なり、家庭内でのトラブルや暴力が増えていることが要因だといわれています。
家族の介護の責任を引き受け、家事や家族の世話、介護、感情面のサポートを行っている18歳の未満の子ども―ヤングケアラーへの支援が急がれています。厚生労働省と文部科学省が行った緊急調査によると、「世話をしている家族がいる」と回答したのは、中学2年生5・7%、全日制高校生4・1%でした。札幌市は今後の支援について検討すべく、現在詳細な実態調査を行っています。

「老々介護」や「介護離職」など、これまでも問題とされてきた家族介護の在り方についての、根本的な見直しが必要なのではないでしょうか。

コロナ以前からの課題である子どもの貧困対策や居場所づくりなどについても、一刻も早い改善と中長期的な対策が望まれ、まさに今「所得再分配」が求められています。

そんな中で持ち上がってきた、18歳以下の子供への10万円給付問題。経済対策なのか生活困窮者対策なのか、はたまた子育て支援なのか。中長期の展望を欠き政策目的があいまいなまま、1・8兆円の新たな借金を次の世代に付け回しすることが、果たして公正な「分配」と言えるでしょうか?!

デジタル社会とは??

デジタル技術の急激な進化は社会を大きく変え、AI(人工知能)やスマートフォン、巨大IT企業による情報の占有と支配など、私たちの日常生活とも複雑に絡み合い、その功罪の見極めが大切になってきました。

政府は9月にデジタル庁を発足し担当大臣を配置して、デジタル社会の実現を成長戦略の中心に据え、コロナ化で浮き彫りになった「デジタル敗戦」の失地回復に躍起になっています。自治体に対しては情報システムの標準化とマイナンバー普及の大号令をかけ、「デジタル田園都市構想」なるものも打ち出されました。

一方、生産性の向上や手続きの効率化への期待はあっても、それが目指す社会像が見えない不安が渦巻いています。

今年4月まではマイナンバーカード作成に5千円分のポイントが付きました。今度は新たに、健康保険と銀行口座をひも付きにすると最大2万円分のポイント付与へとグレードアップ。ニンジンをぶら下げてでも無理やり進めるやり方は、制度への不信感をより強くすることにつながらないでしょうか。

急きょ前倒しで進められた、小中学校でのパソコン一人一台を実現する「GIGAスクール構想」は、現場の混乱や多忙化をもたらし地域や収入による格差を生み出していないでしょうか。

2025年度までに地方自治体の17業務について情報システムの標準化・共通化を進めるとされています。業務の見直しやサービス向上の掛け声の下で、デジタル部門への過剰な負担や対人サービス部門の軽視など、総務省が進める「公務員の定員削減」の「錦の御旗」となる危険はないでしょうか。

デジタル技術は生活を守る手段として使われるべきであり、目的と手段を逆転させてはいけません。

過ちの責任はどこに?!

アベノマスク
最近になって、約3分の1(115億円相当)が倉庫に眠っていることが明らかになりました。当初から「小さい」「ガーゼの防止効果は?」「発注先が不明朗」などの批判がありながら、軌道修正がきかずに突っ走ってしまった結果です。
マスク不足が解消されつつあった時期に、わざわざ追加発注された8000万枚。行き先も決まらず、保管の倉庫代が年6億円。アワと消えてしまう運命なのでしょうか。

GoToトラベル
「感染拡大の引き金になる」との医療関係者や自治体首長の危惧や、世論調査では70%以上の開始反対にもかかわらず、当時の菅官房長官の肝入り事業ということで見切り発車をしました。

観光業界からは喝さいを浴びたこの事業も、事業予算の2割を占める3000億円の巨額な委託費が批判にさらされ、高級ホテル・旅館や大手旅行会社が優遇されるような制度設計も、問題視されました。

そして、政府分科会がトラベル事業の見直しを提言して3週間後の12月14日、新規感染者数が全国で3千人を突破してようやく停止の表明がされ、翌年1月7日、首都圏では2度目の緊急事態宣言が発出されることになります。

PCR検査の抑制
感染の全国的な広がりが明らかになってくると、全国の医療関係者や自治体からは、「感染者の早期の発見と感染予防対策にはPCR検査体制の充実・拡大が必要」との声が寄せられていました。

新型インフルエンザが流行した2010年の総括会議報告書には、「地方衛生研究所の検査体制の強化」が示されているにも関わらず、厚労省は無策であったことが明らかになっています。なぜ、大学病院や民間会社をフル動員した検査体制が構築できなかったのか?行政改革の名のもとに、人員削減、コスト削減の対象とされてきた保健衛生部門の強化が求められます。

ワクチンが足りない
4月に「希望する高齢者の7月末接種完了」、5月に「1日100万回接種」の目標を掲げた菅前総理。総務省の幹部を通じて直接自治体への協力要請を行い、集団接種や職域接種が軌道に乗ったと思いきや、6月23日に「職域接種申請の一時停止」、7月9日には「自治体への供給量の見直し」が表明されました。

一方この時期は、5月上旬に全国で7千人を超えた新規感染者数が、6月初めには3千人を割り込み、東京の緊急事態宣言の解除が急がれていました。「コロナに打ち勝った証しとしての東京2020」の有観客開催へと前のめりになり、「五輪ありき」の筋書きの中で全てのコロナ対策が考えられていたといえます。

医療崩壊
爆発的な感染拡大と医療崩壊ともいわれる中、医療現場の限界を超えた努力にもかかわらず、感染者の入院病床が不足し受け入れ先が見つからない状況が、テレビや新聞で繰り返し報道されたことは記憶に新しいと思います。

政府は、入院対象を重症化リスクの高い患者に重点化し他は原則、宿泊療養又は自宅療養へと方針転換を図りましたが、重症化の判断基準や療養者の容態急変、看護体制などに大きな課題を残しました。

さらに、発表される病床確保数と実態の落差はなぜ生じるのか、人材の育成と確保、公立病院の機能強化についての速やかな検討が必要です。

地球温暖化とゼロカーボンへの取り組み

1・5℃未満への道
10月31日から11月12日までイギリスのグラスゴーで開催されたCOP(気候変動枠組み条約第26回締約国会議)で、産業革命前からの気温上昇を1・5℃未満とすること、石炭火力発電を段階的に削減することが合意されました。

2015年のパリ協定で「努力目標」とされた「1・5℃未満への道」が、目標の策定義務化や進捗調査に法的拘束力を持たせることにより、実現へと一歩踏み出すことになります。

現行政策のままなら2・7℃の上昇が避けられないとの試算が明らかにされ、世界中で起きている熱波や洪水が「異常気象」ではなく「日常」の出来事になり始めており、その原因は「地球温暖化=CO2の排出」にあることを国連機関が初めて断言するなど、気候変動への危機感が一気に高まったことが背景にあります。

一方、先進国と途上国の対立や世代間の影響のちがい、貧困層へのしわ寄せなど、気候変動で不利益を強いられる側が、その原因である化石燃料を大量消費してきた側の責任を問う、「気候正義」を求める声が大きくなっているといいます。

今回の会議では、先進国による途上国の温暖化対策への資金援助を、25年までに倍増することも合意しましたが、今後は森林伐採や鉱山開発、ダム建設など、環境破壊につながる行動にも注目しなければなりません。

無事に20周年を迎えた市民風車第1号『はまかぜちゃん』(浜頓別町)

エネルギー基本計画
日本では、10月22日に第6次エネルギー基本計画が閣議決定されました。
2050年に温室効果ガス排出の実質ゼロや、30年度の排出量を13年度比で46%削減するとの政府目標の達成に向けた道筋を示すものとされています。

第5次基本計画に比べて、ようやく先進国並みの長期目標を掲げ、再生可能エネルギーの主力電源化が掲げられたとはいえ、課題はなお多いといえます。
第一は電源構成です。

2030年の目標は再エネ36~38%と大幅に増加しましたが、これは既にドイツが達成した数字であり先進諸国から大きく後れをとっています。原子力の20~22%は、現存する原発がフル稼働する計算となり、現実的ではありません。石炭火力19%は、先進国が全廃に向かう中で、日本の本気度が問われる目標となっています。
何よりも、冒頭で福島原発事故は「エネルギー政策を進める上でのすべての原点」と明記しているにもかかわらず、原発の位置づけはあやふやなままです。

第二は制度改革です。
2020年4月から発送電分離がスタートしました。しかし、送電網の開放や増強により新規参入の垣根を低くするなど、さらなる制度改革が必要です。
九州電力管内では、出力調整のために再エネ電力が一時停止させられる事態が発生して注目を浴びました。経済産業省が発表した発電コスト試算においてさえ、2030年には原発と再エネが逆転するとされる中で、世界で起きている劇的な変化への対応力が問われています。

第三は火力依存です。
CCS(炭素回収・貯留)や水素・アンモニアへの燃料転換などの技術革新によって、火力発電を維持するとしていますが、技術面やコスト面からも不透明といえます。

「あらゆる選択肢を追求」「複数シナリオの重要性」などの掛け声の下で、政策転換のタイミングを誤ってはいけません。

環境首都さっぽろへ
札幌市は2021年3月に、これまでの「温暖化対策推進計画」「エネルギービジョン」「市役所エネルギー削減計画」を統合・改定して、2050年にCO2排出量実質ゼロを目標に、新しく「札幌市気候変動対策行動計画」を策定しました。

①SDGsの目標と連動して経済・社会に対しても効果をもたらす②道内の豊富な再生可能エネルギーや資源を活かす③更新時期を迎える公共施設や民間ビルの建て替えに合わせた省エネ・再エネの導入─を取り組み推進の視点としています。

そのために、30年にCO2排出量の16年比55%削減を達成するとして、省エネの部では基準以上の省エネ性能を持つ新築建築物の割合を80%、再エネの部では市内電力消費量に占める再エネの割合を50%、移動の部では自動車台数に占める次世代自動車の割合を60%、資源の部ではごみ焼却量の約10%削減、などの成果指標を掲げています。

目標の実現には、ライフスタイルの変革や技術革新はもとより何よりも「市民の自発的な参加」が欠かせません。個々の政策や事業の推進力としての役割はもちろん、経験をフィードバックし政策へと結びつける「新しい民主主義の回路」をつくりだす必要があるのではないでしょうか。

ミャンマーに平和と自由を‼
―札幌市議会で意見書採択―
ミャンマーで2021年2月に発生した軍事クーデターから10カ月が過ぎようとしています。北海道には約900人のミャンマー人が留学生や技能実習生として暮らしており、札幌においても道内在住のミャンマー人の呼びかけによる「ミャンマーの平和と自由を求める」集会やデモが行われています。

札幌市議会は、7月8日第2回定例会の最終日に、国への「ミャンマーにおける民主的な政治体制の早期回復のための行動を求める意見書」を、全会一致で採択しました。ミャンマー国軍に対して「暴力の即時停止と人権の尊重、不当に拘束された人々の解放」を働きかけること、日本在住のミャンマー人が安心して働き、学び、暮らせるよう必要な施策を講じることを求めるものです。

しかし、国際社会からの非難や国民の抵抗にもかかわらず国軍や警察による暴力や弾圧が続き犠牲者は千人を超えて、現地の状況は悪化の一途をたどっておりミャンマーの民主化運動は孤立を深めているといわれています。
ミャンマーへの政府開発援助(ODA)が世界最大と言われる日本の行動が問われており、私たち一人一人が関心を持ち続けたいと思います。

平和と自由を求める道内在住のミャンマーの人々

2021年10月30日土曜日

道下大樹 立憲民主党 前衆議院議員(衆院北海道1区)

道下大樹候補 補頑張っています。

西区最後の街頭演説です。よろしくお願いします。

大島かおる市議も応援弁士で街宣車に同乗しています。

         地下鉄琴似駅前 投票日前日(10月30日土曜日)

北海道1区とは(札幌市中央区・南区・西区(八軒・発寒地区除く)・北区(鉄西地区)) 

北海道1区の小選挙区の投票用紙には「道下大樹」比例代表選挙の投票用紙には「立憲民主党」でよろしくお願いします。

2021年10月25日月曜日

枝野代表が4区応援演説

 枝野代表来札

北海道4区衆院選候補の「おおつきくれは」候補の応援演説に来札しました。

JR琴似駅裏手にて

 

2021年3月9日火曜日

薫風56号から

大島かおるの市議会リポート
持続可能なまちづくりへの歩み
―コロナに「負けない」未来を―
コロナ禍の一年が明け、早や三月。昨年からの「集中対策期間」が継続され、先の見通しも立たない状況の中、不安や苛立ちがつのる毎日です。私の手帳も、昨年の夏以降は議会日程を除くとほぼ真っ白。まさに「自粛」の日々が続いています。

札幌市議会では、この一年で7回の臨時議会を開催。一人10万円の定額給付金を含めると、約3600億円の補正予算を議決して、医療体制の強化、事業者や市民生活の支援などに全力で取り組んできました。
会派としても3度にわたり秋元市長への緊急要望を行い、補正予算に反映してきましたが、菅政権の対応は後手に回り、機動性や緊張感に欠けるなど、私たちの不満は溜まる一方です。

10都府県の緊急事態宣言、北海道の集中対策期間の解除がいつになるのか、この原稿を書いている時点では見通せませんが、我慢の日々はまだまだ続きそうです。雪解けの喜びや、北海道ならではの初夏の楽しみを期待しながら、もうしばらく、それぞれが地道に感染予防対策に取り組みましょう。

2月17日からは、2021年第一回定例市議会が始まり、一般会計では過去最大となる1兆1140億円、更に新型コロナ対策として294億円、国の経済対策に関連して125億円の補正予算が提出されました。市民生活の安心と未来のまちづくりにつながるよう、議論に臨みます。

ワクチン接種をめぐって
コロナ感染予防対策の「切り札」とされているワクチン接種が、ようやく始まりました。まず、国立病院など医療の中核を担う全国約100カ所、4万人の医療従事者に対して先行実施。これは国の責任で行われます。次いで全国370万人の医療従事者については、都道府県の管轄。その後、4月からとされている65歳以上の高齢者、持病のある人、高齢者施設などの職員、60~65歳、16歳以上の一般へと広げられて、市区町村が担うことになります。

 集団免疫
感染拡大に有効なワクチン接種率は人口の60%と言われています。すべてが順調に進んでも達成は秋ごろと予想され、過大な期待は禁物です。

 接種体制
札幌市の65歳以上人口は50万人超。仮に8割の人が接種を希望したとしても、延べ80万回の接種が必要となります。高齢者は「かかりつけ医」を中心に進めるとしていますが、1日1万人でも3カ月。気の遠くなるような作業が予想されます。

 予約システム
就任早々の担当大臣が、接種記録のマイナンバーへの紐付けを打ち出してひんしゅくを買いました。昨年来の、マイナンバーカード登録窓口の混乱などどこ吹く風。現場に無用の負担を押し付けないよう願いたいものです。

 努力義務
ワクチン接種は希望者が対象とされていますが、特別措置法では努力義務ともされていますす。感染者や医療機関に対する差別やバッシングが大きな社会問題となりました。接種を望まない人の権利が守られるよう、十分な対策が求められます。

ワクチンの入手スケジュールや接種開始時期が定まらず、保管や接種場所への輸送体制、医師や看護師の確保、予約や相談窓口の整備など、自治体は多くの不安を抱えたまま繁忙期の3月4月を迎えます。
「東京2020開催はコロナに勝った証し」―繰り返される政府の決意表明に惑わされないよう、慎重かつ丁寧な準備が必要です。

反省や点検のないまま…
2度目の緊急事態宣言の発出を巡る政府の混迷は、Go To トラベルの一時停止の遅れや、首相自身のステーキ会食、自民党国会議員の高級クラブはしご問題と合わせ、政治そのものへの信頼を削ぐ結果となっています。
昨年4月7日から5月25日までの緊急事態宣言は、当初の東京都や大阪府など7都府県から全国へと広がり、日本経済は大きなダメージを受けました。それがトラウマとなって「宣言は出来るだけ避けて、ワクチンに期待したい」「二度と悪夢は見たくない」と、逃げ回ったというのが実情ではないでしょうか。

今冬に大きな感染拡大の波が来ることは専門家からも繰り返し指摘されていました。検査や医療体制の整備をはじめ、区域指定の在り方、営業自粛や施設の使用制限、支援金の基準などについて十分な議論と検討の時間があったはずです。
その責任を放棄し、国会での議論にもフタをしてしまった菅政権のコロナ対策は、厳しく批判されなければなりません。

なぜ、罰則?! 

年が明けての通常国会を前にして、感染抑止に応じない感染者や飲食店に罰則を科す法改正案が、大きな議論となりました。
「罰則は差別や偏見を助長する」「まず十分な補償が必要」「罰則によって感染抑制はできない」「行政との信頼関係を損なう」など、世論調査では約7割が反対。政府の専門家会議でも、多くは慎重な意見だったといいます。

刑事法学者からは「著しい私権制限や人権侵害につながる罰則は、なぜ必要かという立法事実を示すことが必要」との批判を受け、結局、懲役や罰金という刑事罰は削除されて、行政罰(過料)とすることで決着を見ました。しかし、行政罰を科すのは自治体であり保健所の役割となります。現場の状況を見れば、入院や検査を拒否する人の事情や、休業や時間短縮に応じない飲食店の営業実態を公平に調査し判断を下すことなど、ほぼ不可能と断言せざるを得ません。まずは、十分な検査・医療体制の整備と、事業者が安心して要請に応じられるきめ細かな対策が求められます。

自助・共助・公助
「自分でできることはまず自分でやってみる。そして家族、地域で互いに助け合う。そのうえで政府がセーフティーネットでお守りする」―菅首相の所信表明は、自助や自己責任をまず求める強者の論理として批判されました。
困ったとき、少しの助けが欲しいとき、共助(地域での支え合い)や公助(公的なサービス)があることによって頑張ることができる。私たちが生きている社会は、そのつながりがあるからこそ成り立っているのではないでしょうか。不安な社会、貧困や格差が広がっている時代だからこそ、共助、公助の果たす役割や領域が広がっています。コロナによる解雇や雇い止めが生活を直撃している一人親家庭や学生、フードバンクや子ども食堂の広がりの背景に目を向けると、おのずと政治が果たす役割は明らかです。

持続可能な都市へ
新型コロナウイルスの感染は、グローバル化した人の移動によって世界に広がり、大都市を中心に急拡大しました。
地方都市における医療機関や高齢者施設でのクラスターによる医療ひっ迫と異なり、医療資源が集中し安全なまちであるはずの東京都が、医療崩壊寸前の危機的状況であったことは、今後の札幌のまちづくりの教訓としなければなりません。それは、国際化・情報化を旗印にしたビルの高層化や大企業の集中と、働く人々の集積による過密な都市構造が、ウイルスに対する「もろさ」につながっているではないか、ということです。
敗戦後、私たちは成長と効率を求めて走り続けてきました。人のつながりが希薄になり、大切な時間も機械やお金に吸い取られていく時代に生きています。東日本大震災―福島原発大事故から10年、そしてコロナ禍の中で、「持続可能な都市」とは何かを、考え続けたいと思います。

秋元市長に2021年度予算要望を手渡す。














一般会計予算の概要

東日本大震災から10年
―新たな課題を見つめる―
国土強靭化の名のもとに

この10年間で住宅再建や道路、鉄道、防潮堤などハード面での整備はほぼ完了したといいます。しかし、自治体の再建計画が大幅に縮小されたり、住宅の移転によるコミュニティーの分断や、住民の孤立化が進むなど、新たな課題も明らかになってきています。
復興事業は2021年度から5年間の「第2期復興・創世期間」に移り、岩手、宮城県ではソフト事業に軸足を移すとされていますが、これまでの復興事業の問題点や今後の課題について、厳しい検証が必要ではないでしょうか。
何よりも、東京電力福島第一原発事故で放射能に汚染された地域では、立地自治体を中心に約3万7千人が避難生活を続けていること、その6割以上が「もう故郷にはもどらない、もどれない」と考えていることを忘れてはなりません。
「復興五輪」と名づけられた東京2020は、いつの間にか「コロナ勝利五輪」へと衣替えしてしまいました。政治的思惑に翻弄され、震災の記憶の風化が加速していくことのないように、気持ちを新たにしたいと思います。

行先のない核のゴミ
昨年、寿都町と神恵内村の文献調査で注目された「放射性廃棄物」。いわゆる「核のゴミ」にも色々あるのをご存じでしょうか。


 指定廃棄物
福島原発の事故により、放射能汚染は全国に広がりました。関東地域の自治体では、焼却灰や下水汚泥などのうち1㎏あたり8000ベクレル以上のものを指定廃棄物として一時保管しています。都道府県に1カ所の長期管理施設と処分場を建設することになっていますが、全く進んでいません。

 除染廃棄物
表土などをはぎ取ったもので、福島県内で約2200万㎥もの量になります。今は原発周辺の仮置き場に野積みされ、中間貯蔵施設に30年、その後「県外で」最終処分との計画ですが、見通しは立っていません。

 汚染水
原発事故では核燃料が溶け落ちたため、取り出すために冷やし続けなければなりません。
そのために放射能を含んだ冷却水が1日当たり150t。累計は120万t、タンクにたまり続けています。国は海洋への放出を計画していますが、風評被害を恐れる漁業者の猛反対にあっています。


そして、国が進めている「核燃料サイクル」、通常の原子力発電所の運転によって、毎日増え続ける「低レベル」「高レベル」の核廃棄物があります。
東京2020大会招致のために「(福島原発事故処理)はアンダーコントロール」と言い切った元首相、50年間にわたって「原発は安全」「核のゴミは科学が解決する」と言い続ける政治家・学者・電力会社の皆さんに、真実が見えているのでしょうか。

コロナ禍で困窮する学生に食の支援を
―ほっかいどう若者応援プロジェクト―
地方や道外から札幌・北海道に学びに来ている学生の多くは、学費や生活費をアルバイトで補っています。しかし、新型コロナの感染拡大にともなって収入が大幅に減少し、食事を減らしたりしながら、学業の継続や将来への不安を募らせています。
連合北海道、北海道生活協同組合連合会などが中心となって、一人暮らしの学生が学びと生活をあきらめることがないよう、応援の気持ちを込めて、ささやかな食の支援を行います。第1弾の北海道大学では、1000セットが学生・留学生に手渡されました。今後、市内・道内の各大学に支援の輪を広げる予定です。協賛金・寄付金については左記まで。
事務局・問い合わせ先
連合北海道
電話011・210・0050