2020年8月27日木曜日

薫風 第55号から

大島かおるの市議会リポート
新型コロナとともに6カ月
―混迷と不安の中で―
2月中旬にダイヤモンドプリンセス号船内での感染拡大が明らかになり、札幌では同時期に「雪まつり」の訪問客が感染源と思われる患者が増加し、第一波とみられる状況が生まれました。それから早や6カ月。緊急対策をめぐって世の中はめまぐるしく動き、政治の混迷と生活の不安は、収まりそうもありません。議会日程を除いた私のスケジュールは次々とキャンセル。議員生活初めての、空白だらけの手帳を眺めています。

突然の一斉休校
2月26日に鈴木北海道知事が小中学校の一斉休校を要請。翌27日、安倍首相が全国小中高校への休校要請。実質的に命令に等しいこの措置は、「保護者の感染への不安に応える」との理由で正当化されています。
しかし、感染状況の分析、感染予防対策、子どもの教育や生活への影響などについての具体的な説明はなく、丁寧な検討が行われた形跡はありません。その後4月7日から5月25日までの緊急事態宣言によって、子どもたちは約3カ月にわたり、卒業や入学をはじめとする貴重な学校生活と成長の機会を奪われたといえます。

4月下旬に浮上した「9月入学」も唐突でした。受験を控えた高校生の不安を利用した「火事場泥棒」的な拙速な議論は、当然にも断念に追いやられたとはいえ、大人の都合で子供たちの人生を振り回す身勝手さを反省しなければなりません。

緊急事態宣言
一斉休校を機に、「緊急事態宣言」を可能にする法制定を求める声が、とりわけ都道府県知事から大きくなり、3月13日に「改正新型インフルエンザ等対策特別措置法」が成立しました。予防や検査体制への不安も大きく後押ししたといえます。
しかし、4月7日に緊急事態宣言が発令されると、自粛要請対象をめぐって国と知事との対立が生じます。宣言発令にあたっては、何を国民に求め、どのような効果を期待するのかを具体的に示し、経済や社会への影響に対する対策を示す必要がありますが、その責任のなすり合いが始まります。

強大な権力の行使という甘い蜜は、新たな混乱を引き寄せているかのようです。
「予防」と「自粛」の名のもとに、強制力を持って市民生活を制限する「緊急事態宣言」。
私たちは「緊急事態宣言」に一体何を期待していたのか、再度発令するとしたら何を期待するのか、冷静に考えてみる必要があるのではないでしょうか。

    秋元市長に緊急要望書を提出

新型コロナ対策に関する緊急対策
札幌市補正予算
新型コロナウイルス感染症への対策を速やかに実行すべく、札幌市では4月以降4次にわたって補正予算を編成してきました。総額では、国の定額給付金事業(一人10万円)、子育て世帯・ひとり親世帯の特別給付金事業を除き約821億円になります。収入が途絶えて生活に困窮する世帯については、国の制度である「緊急小口資金」や「総合支援資金」の相談窓口(社会福祉協議会)の拡充を進めるなどの対策も行ってきました。

どうやら長期戦になりそうな新型コロナ対策ですが、「判断は冷静に、対策は迅速に」―引き続き全力で取り組んでいきます。

第1回臨時議会
4月3日議決
◎医療提供体制の強化と感染拡大の防止
◆PCR装置や試薬などの追加購入8千百万円
◆入院病床の確保と医薬品、資器材の購入2億2百万円
◆学校、保育所、障がい福祉施設等の感染予防1億2千8百万円
※放課後児童クラブ運営費支援、保育料の返還については本予算に計上済み。
◎市内企業の事業継続支援
◆融資枠の拡大と信用保証料の補給216億7千万円
◆経営や就労相談体制の拡充4千8百万円

第2回臨時議会
5月1日議決

◎必要な医療の提供と感染拡大の防止
◆PCR検査センターの設置8千6百万円
◆医療機関への支援と病床確保7億7百万円
◆市立病院にICU6床分追加7千4百万円
◆ウイルス検査費用と入院費用の公費負担(追加分)9億2千万円
◆学校、保育所、障がい者施設等の感染予防(追加分)
4億4千3百万円
◆放課後児童クラブ運営費支援、保育料の返還(追加分)
2億4千5百万円
◆すすきの及び商店街の感染予防対策3億4千2百万円
◎事業の継続と雇用の維持
◆緊急貸付分(限度額5百万)の利子補給8千百万円
◆事業者向け相談窓口の開設、機能強化1億2千万円
◆休業要請に応じた事業者への支援金15億3百万円
※北海道と合わせて30万円(2万5千件)
◆飲食店のクラウドファンディングによる資金調達支援1億8千万円
◆テレワーク、オンライン導入への補助1億3千6百万円
◆文化芸術活動のインターネット配信3千2百万円
◆住宅確保給付金、生活困窮者用シェルターの拡充7千7百万円
◆給付金付き再就職支援(3百名)1億千百万円
◆札幌市による臨時職員採用(会計年度任用職員百名)1億8千7百万円
◎市民生活を支える
◆一人10万円の定額給付金の支給1998億円
◆児童手当受給世帯への臨時特別給付金(一人1万円)24億9千2百万円
◆小中学校全学年へのタブレット端末配備35億9千万円

第2回定例会
6月10日議決
◎必要な医療の提供と感染拡大の防止
◆PCR検査体制の強化(1日当たり最大5百件)7億7千9百万円
◆医療機関の受け入れ体制強化(追加分)14億9千7百万円
◆検体移送、患者搬送経費(追加分)1億5千万円
◆一般電話相談、接触者相談センターの強化(追加分)1億7百万円
◆対応職員の特殊勤務手当の増額5億4千2百万円
◆介護、障がい福祉サービス事業者の感染症対策支援1億2千4百万円
◆放課後児童クラブ運営費(追加分)9千百万円
◎事業の継続と雇用の維持
◆融資枠の拡大と信用保証料・利子の補給296億6千百万円
◆新しい生活様式に取り組む事業者への支援13億3千7百万円
※北海道の5万円に同額を上乗せ
◆市内の飲食店や商店向けのプレミアム付き商品券12億8千4百万円
※一冊1万円で1万2千円分利用可能。50万冊発行。
◆定山渓温泉宿泊の札幌市民に割引クーポン発行1億千万円
※一人2千円で5万人
◎市民生活を支える
◆感染症対策にかかわる様々な方への支援基金の創設5億円
◆国民健康保険や介護保険料の減免と還付6億6千9百万円
◆緊急事態宣言期間中に生まれた子供への定額給付金支給1億3千6百万円
◆ひとり親世帯に対する臨時特別給付金23億2百万円

第3回臨時会
7月3日議決

◎必要な医療の提供と感染拡大の防止
◆一般電話相談、接触者相談センターの強化(追加分)1億2千2百万円
◆検体移送、患者搬送経費(追加分)2億2千5百万円
◆医療従事者に対する支援金(一人当たり5~20万円)4億千5百万円
◆保育所、児童クラブ等の職員に対する慰労金(一人5万円)9億円
※高齢者、障がい者施設は北海道の所管
◆二次救急医療機関等における感染予防対策32億円
※一施設2千万円~1億2千万円
◆学校、保育所、障がい施設等の感染予防対策15億9千百万円
◆放課後児童クラブ運営費(追加分)5千万円
◎事業の継続と雇用の維持
◆中小事業のテレワーク等の導入支援(追加分)3億8百万円
※50社から500社に拡充。上限80万円。
◆宿泊事業者に対する感染症対策の支援2億2千7百万円
※客室数に応じて10万円~100万円。民泊5万円。
◆市内バス・タクシー事業者に対する感染症対策の支援1億6千5百万
※バス1台当たり10万円。タクシー1台当たり1万円。
◆学校給食中止への対応1億3千5百万円
◎市民生活を支える
◆学習面の支援が必要な児童・生徒のサポート1億2千百万円
※7月~12月。一校に2名。
◆遠隔授業を実施するための環境整備7千2百万円
◎経済活動の回復のために
◆飲食店のクラウドファンディングによる資金調達支援(追加分)2億円
◆飲食店などがグループで取り組む販売促進キャンペーン5億7千万円
◆市内宿泊者の宿泊代金の割引や飲食クーポンの配布23億2千万円
※宿泊割引5千円、クーポン券3千円。
◆市内宿泊者に宿泊補助券や特産品をプレゼント3億4千万円
◆観光団体等による「新北海道スタイル」の取り組み支援1億8千万円
◆市内観光施設の入場料無料化(8/1~8/31まで)1億7千8百万円
◆地元オーケストラによる鑑賞機会の創出4千3百万円
◆無観客公演を配信する文化芸術団体等への支援(追加分)6千9百万円

       本会議場も採決時を除き半数出席

「コロナ」が映しだす社会
疲弊するセーフティネット
PCR検査、感染者の行動調査、入院調整、病床確保とシフト調整など医療や公衆衛生部門の弱さが明らかになりました。行政改革と効率化の名のもとに歴代自民党政権が進めてきた、人員削減と民間委託の当然の結果ともいえます。

同時に、非正規雇用や外国人労働者、学生生活など雇用と失業の問題。家庭内暴力や児童虐待の不安。高齢者や障がい者の活動など、これまでも指摘されてきた「生きる」ことを支える制度が、危機的な状況にあることを示しています。

一方、クラウドファンディング(事業目的と目標金額を決めて広く寄付を募る)などを通して、多くの市民活動に命が吹き込まれ未来へとつながっていることや、エッセンシャルワーカーと呼ばれる、医療や介護、保育をはじめ、スーパーの店員や清掃員などの存在によって私たちの日常生活が支えられていることの確認は、コロナ後の社会を考える重要なヒントになりそうです。

不安から生まれる社会の分断

コロナに感染した患者さんへのバッシングや、過剰な正義感と倫理観から他者を攻撃する「自粛警察」なる存在は、社会の歪みを象徴しているのではないでしょうか。その歪みは簡単に、社会の分断につながります。

自粛要請にもかかわらず営業を続けるパチンコ店の公表が大きな話題としてワイドショーをにぎわし、最近は誰が名付けたのか「夜の街」が攻撃のターゲットとされています。一時は「昼カラオケ」も感染拡大の元凶のように言われました。
何故か?大多数にとって、それらが「不要不急」の最たるものとして考えられているからではないでしょうか。そして、その対象は娯楽から芸術・文化へと広がっていきます。
休みたくても休めない人、休むことは生活破綻につながる人への想像力は閉ざされ、「私がこれだけ我慢しているのに許せない」という思いが、他者とのコミュニケーション(共感)の回路をふさぎ、分断の広がりをつくりだします。

「ステイホーム」が「Go To」になり「安全か経済か」の選択を迫られると、本来両立しなければ意味のないものが、無理やり対立するものとして立ち現われる―そんな危うい社会との共存が迫られているのでしょうか。


   医療体制について向井市立札幌病院長と意見交換

秋元市長への緊急要望を提出
市議会民主市民連合は、市民生活を守るために一刻も早い独自の対策が必要との観点から、4月と6月の二度にわたって、札幌市の補正予算編成に向けての緊急要望を行いました。

1回目  4月17日提出
4月16日に緊急事態宣言が全都道府県に拡大され、一律一人10万円の定額給付金が決定されるなど、状況が大きく変わる中で行われました。
①事業継続が危ぶまれる、飲食業や中小企業への独自支援。
②特例緊急小口資金貸付制度の周知と窓口の拡充。
③ひとり親家庭に対する児童手当の独自上乗せ支給。
④PCR検査や医療体制の整備と必要な資器材の確保。
⑤公共サービスを支える非正規労働者の雇用確保と労働相談の充実。

2回目  6月22日提出
5月25日に緊急事態宣言が解除され、6月12日には総額31兆円の第2次補正予算の成立を受けて行われました。
①今後の感染拡大に備えた感染予防対策と、専門的な対策チームの編成。
②大きなストレスや不安を抱える子どもたちの学校生活への十分な支援。
③高齢・障がい・子どもの福祉サービス事業者、公共交通事業者への支援。
④文化芸術関係団体

に対する活動継続、再開への支援。

2020年3月13日金曜日

薫風54号から

大島かおるの市議会リポート
 薫風 第54号 2020年3月5日
豊かさを問う一年に
―ゆるぎなく、一歩ずつ―
記録的な暖冬・少雪の年末年始。冬の観光・レジャーや除雪業者への影響は?と、頭を悩ましていると、二月に入ってからの降雪であっという間に昨年並みとなりました。
自然は気まぐれ。気は許せません。

秋元市長は年頭の職員向けのあいさつの中で、「大きな時代の転換期を前に、アクションプランに掲げた事業の着実な実行と、市民、企業、北海道や他の自治体とともに力を合わせる」との思いを込め、『和』の一字を掲げました。
2月18日からは、過去最大となる一般会計1兆295億円、特別会計、企業会計を合わせると1兆6709億円の予算案を審議する、2020年度第一回定例会が始まりました。未来につながる政策・事業となるよう、議論に臨みます。
昨年12月、秋元市長に予算要望を手渡す


民主主義が壊される!?
今年の干支は「庚子(かのえ・ね)」。その意は「新たな芽吹きと繁栄の始まり」とされています。しかし、国会中継や日々の報道を見てその気持ちが萎えるばかりか、寒々とした気持ちになる方は多いのではないでしょうか。
SDGs(持続可能な開発目標)やCO2削減への取り組み、税や社会保障の将来像など議論すべき課題が山積する中、昨年臨時国会では、公職選挙法違反で二人の大臣が辞任。そして「桜を見る会」をめぐる様々な疑惑。安倍政権が成長戦略の一つと位置付けるIR誘致をめぐっては収賄容疑で国会議員の逮捕。北海道の空をオスプレイが自由に飛び回る。東京高検検事長の定年を勝手に延長する。新型コロナウイルス対策会議を私用で欠席する大臣。などなど、説明責任や知る権利が無残に削ぎ落とされていきます。
何度も繰り返される「真摯に」「丁寧に」―言葉の意味が正しく理解される日は来るのでしょうか。

かすむ地方創生
安倍政権の目玉政策の一つである地方創生が新たなステージに入ろうとしています。2015年にスタートした「まち・ひと・しごと創生総合戦略」に沿って、札幌市も「地方版総合戦略」である、「さっぽろ未来創生プラン」を策定し、取り組みを進めてきました。
しかし、札幌市も当初掲げたKPI(数値目標)の半分以上は達成したとしていますが、少子化と人口減少の一方、大都市への人口集中が続くいびつな構造には、全く歯止めがかかっていないのが現状です。

今年からスタートする第2期では、新たに「関係人口の創出・拡大」「Society5・0(未来技術)の推進」「SDGsの促進」を掲げますが、その成果には早くも疑問符が投げかけられています。
国が号令をかけ、地方自治体にその結果責任を押し付けるような手法が目につく安倍政権では、政策の深化は望むべくもないということでしょうか。
札幌地区連合新春旗開きでご挨拶











5G(ファイブジー)の未来
最近「5G」という言葉を耳にすることが多くなりました。大容量のデータを瞬時に送受信できる通信規格で、第5世代を意味する「5G」は、2020年に商用サービスが始まります。
遠隔地の画像診断など医療分野の実証実験の様子を、テレビなどで見た方も多いかと思いますが、工場や農業の効率化、交通システムへの応用、さらには行政サービスにおいても日常生活との距離を縮め利便性を高めるとの期待が高まっています。
一方、基地局や端末機器の整備には多額の費用を要することや人材育成、電磁波による健康被害が心配されるなどの指摘もあり、世界が注目する大きなビジネスチャンスとはいえ、浮かれてばかりはいられません。
「夢」に惑わされないよう、しかし「夢」をしっかり追い続けることができるように、動きをしっかりと注視していきたいと思います。
町田市長に、オスプレイ訓練に関する申し入れ












新アクションプランの着実な実行を
―2020年度札幌市予算案―
 楽観視は禁物

 一般会計予算の概要は下記の通りです。

一般会計予算の概要
歳入では、市内経済の緩やかな回復による納税者の増加によって、市税などの一般財源の伸びが見込まれます。
一方歳出では、災害からの復旧や都市基盤の強化、子ども・子育て支援や経済対策など喫緊の課題への対応に加えて、社会保障関係費や老朽化した公共施設の更新に伴う公債費の増加など、楽観視できない状況が続きます。
このような状況の中で、今年度予算は「アクションプラン2019に掲げる目標の実現に向けたスタートダッシュ予算」と位置づけられ、①安心して暮らせるまちづくり②女性の活躍を応援し子供が健やかに育つまちづくり③人材を育み成長を続ける躍動のまちづくり④魅力と活力にあふれるまちづくり―の4つの体系で編成されています。

次への一歩を
消費増税や新型コロナウイルスによる景気全体への影響や米中貿易摩擦の行方などの不安材料がある一方、世界的な平和の祭典である東京2020オリンピック・パラリンピック大会のマラソン、競歩、サッカーの札幌開催に向けた準備を急ぎ、成功へと力を合わせなければなりません。
来年2月開催予定の第3回国際芸術祭と合わせて、国内、国外から多くの人々が訪れる絶好の機会を最大限に生かして、札幌の美しい街並みと北海道が持つ豊かな自然、食や観光の魅力とホスピタリティ(おもてなしの心)を世界に発信する一年でもあります。
開催都市決定のプロセスが大きく変わった、2030冬季オリンピック・パラリンピック招致に向けた取り組みも、いよいよ正念場を迎えます。競技設備についての基本案は、ほぼ合意ができ、ハード・ソフトを含めて本格的に、これからの札幌のまちづくりの方向性と重ね合わせての議論と、市民合意が求められます。
2度目の開催が、50年後も「まちづくりの大きな成果・財産」として語り伝えられる大会となるように、一歩前へ!!

新型コロナウイルスについて考える
─正しく恐れるとは─

この「議会だより」をお届する頃にはどのような状況になっているか予想もつきませんが、新型コロナウイルス感染の広がりが心配されています。
一方、過剰な報道によって不安がより増幅してはいないか。隔離・収容(クルーズ船の漂流)は適切な対策であるのか。感染を防ぐ有効な対策はあるのか。ネットにあふれる不安をあおるデマや、差別的な発言や深刻さを増す経済的な影響など、冷静な議論と問題点を率直に見直すことが求められています。
また、不安の広がりに恐れをなして政策決定を歪めてしまわないよう、常に感染のリスクと人権・人道とのせめぎあいの中で、判断をしなければならない困難を抱えていることも、理解する必要があります。

基本をしっかりと
ウイルスの発染源や効果的な治療法はまだ不明ですが、ウイルスの大まかな特性は明らかになってきています。
咳やくしゃみによる飛沫及び接触感染。多くは比較的軽症で回復し、症状が出ない場合もある。高齢者や持病のある人は重症化しやすく、死亡例も多い。症状はインフルエンザに似ている。感染力はインフルエンザと同じ程度。
したがって私たちの予防対策は、手洗いとうがい、規則正しい生活で免疫力を弱らせない、ということに尽きることになります。

一次情報に振り回されない
毎日のように「新たに〇〇人が感染」「どこどこで初の感染者」「初めての死亡者」など、朝から情報が飛び交い専門家やコメンテーターの見解が述べられます。そして始まる感染者の詮索。
二次感染の広がりが新たな不安となり、「何の落ち度もなく不幸にも感染した患者さん」の個人情報を得ることで、わが身の安全を確認し安心する。そんな身勝手で思いやりや優しさを欠いた姿勢にはなってはいないでしょうか。
心配しすぎて過剰な反応には気をつけたいものです。

市議会議長会が要望書
このような中、札幌市をはじめ全国815の市区の議会が構成メンバーである全国市議会議長会は2月6日、国に対して3点にわたる要望書を提出しました。
1    迅速な検査・治療体制の構築と、地方における医療体制の強化。
2    地方自治体・市民に対する感染予防及び治療体制の、適切な情報提供。
3    観光を含めた地域経済への影響について、風評被害防止など積極的な対策。

全国に「自粛ムード」が広がる中、感染の広がりを一日も早く食い止めることは何よりも優先しなければなりませんが、私たち一人ひとりの冷静な判断が求められます。

感染予防と働き方改革
2019年の訪日外国人は約3100万人。日本人出国者数は、2018年で約1900万人。年間5000万人もの人々が国境を越えて行きかうようになった社会で、感染症の広がりを防ぐことは容易ではありません。
いわゆる水際作戦(検疫による防御)は失敗し、現在は市中感染の初期の段階で抑え込むことに全力が注がれています。
その鉄則に一つは、感染者が動き回らないこと。そのためには、風邪の症状を感じたらまず、外出を控えることだとされています。しかし「ハタラキバチ」と称される日本の勤労者は、「休ませてもらえない、休んだら迷惑がかかる」と気を遣い、企業や上司は「気のゆるみ」と理不尽に非難する風潮にあります。
働き方改革の肝は、ここにあるのではないでしょうか。