2015年4月8日水曜日

薫風43号から

上田市政をつなぐ、つぎへ
札幌市2015年度予算 
2015年第1回定例市議会が2月12日に開会し、上田文雄市長は全会計総額1兆5443億円となる2015年度予算案と14年度一般会計に今冬の除雪費62億円を含む約103億円の補正予算案など、議案66件を上程した。

健全財政を持続
歳入は、市税が対前年度比0・1%増の2811億円。地方譲与税・地方特例交付税・道交付金等は、地方消費税交付金の増加等で同26・5%増の500億円を見込む。地方交付税は同10・5%減の845億円とし、このうち新市長の補正財源として50億円を留保した。

歳出は、子ども・子育て支援新制度に伴う児童福祉費の増加や障がい児通所サービスの利用者増などにより、保健福祉費が同3・7%増の3443億円と全体の約4割を占めた。

土木費は、同13・5%減の822億円だが、地域経済への影響を配慮し、道路や公園等の社会基本整備費は対前年比約65%の232億円を計上。退職者数増による退職手当の増加などで職員費は同0・5%増の878億円とした。

財政調整基金からの繰り入れは当初予算に計上せず、基金残高は14年度末の126億円を維持。このため行財政改革推進プランのベンチマークで掲げた基金残高100億円を上回る見通し。

市全体の市債残高は前年より113億円減の1兆7042億円を見込む。上田文雄市長は記者会見で、この点について「この12年間、一貫して取り組んできた『健全な財政運営』を最後まで貫くことができた」と語った。

子ども・子育て施策を総合的に推進
当初予算案には、子ども・子育て支援や都心と拠点のまちづくりなど、札幌市まちづくり戦略ビジョンが示す都市像の実現に向けた取り組みが盛り込まれた。

「暮らし・コミュニティ」では、新たに生活困窮者自立支援事業として2億5580万円を計上し、生活や就労に関する相談支援や中学生への学習支援・ホームレスに対する一時的な生活支援などを実施。

また、子ども・子育て支援新制度の開始に伴い、認定こども園の整備や私立保育所の増改築に18億9200万円を補助し、616人の保育定員増を図る。

このほか、旧真駒内小学校敷地に新設する(仮称)南部高等支援学校の実施設計に2億5000万円を充て、支援学校の市内北部偏在を解消する。町内会の加入促進は3000万円で、メディアなどで普及啓発を図るとともに、加入促進を支援する地域を3区から全区に拡大。

除雪費は、175億6400万円とした。

道内連携強化し、地域経済を活性化
産業・活力」では、企業立地促進費として4億3200万円を投入し、地域経済活性化や産業基盤の強化を図る。札幌コンテンツ特区関連は1億3900万円。
市内でのロケ撮影に対する助成や海外プロモーションを行う事業者を支援する。

このほか、6次産業の活性化4400万円、道内市町村との連携事業780万円などを盛り込んだ。
4月開校の市立札幌開成中等教育学校では、国際バカロレアカリキュラムや情報通信機器を活用した学習モデルの研究に2100万円を計上した。

駐輪場の整備や、省エネ等を推進
「低炭素社会・エネルギー転換」では、都心部の駐輪場整備を官民協働や再開発で行うとともに、西2丁目地下駐輪場の工事費に1億9000万円を充て、自転車利用の環境整備に取り組む。

また、環境教育の推進に3億1800万円を計上し、小学校9校、中学校1校に太陽光パネルを設置。これにより15年度末の設置校は小学校107校、中学校43校となる見通し。

このほか、省エネ技術の講習会などに1200万円、家庭の生ごみ減量に対する支援策として電動生ごみ処理機の助成などに1800万円、省エネ・バリアフリーのリフォームに対する補助に1億2000万円など。

市民交流複合施設等、新たな都市空間を創出
創世交流拠点のまちづくりを先導するために、高機能ホールや図書館などを備える(仮称)市民交流複合施設(北1西1)の整備費と同地区再開発事業などに80億5300万円を計上した。

地下鉄白石駅に隣接する市有地に、区役所や保健センター、絵本図書館など地域交流拠点にふさわしい機能を備える白石区複合庁舎等整備関連は13億9100万円で、15年度に工事を本格化し、16年秋以降の供用開始を目指す。

都心と苗穂地区の回遊性を向上させるための苗穂駅周辺地区まちづくり関連費用は15億1300万円で、苗穂駅移転・橋上駅舎化や中央体育館の改築などを行う。

円山動物園では11億5000万円をかけ、ホッキョクグマ・アザラシ館の建設に着手する。

市長公約達成率84・6%
3期目の市長マニフェストに掲げた91項目については、すべての政策に着手した。

達成率は84・6%で、「14年度までに特別養護老人ホーム定員1000人分拡大」「通年型のカーリング場を12年度までに開設」「市民交流複合施設を14年度までに着工」「次世代型の博物館計画を14年度までに策定」など14年度末までの達成見込みを含め77項目。

14年度末までに達成には至らなかったが、15年度以降に達成が見込まれるものは10項目だった。

 一方で、達成困難は4項目。入園者100万人を掲げた円山動物園は、12年度の74万8321人から、13年度95万9431人、14年度も4月から12月までに82万5203人を数えたものの目標に届かなかった。

このほか、「町内会・自治会加入率の上昇」「公契約条例の制定」「まちづくりセンターの自主運営化10カ所増」を目指したが、達成できなかった。

除雪費追加し、市民の安全守る
補正予算は、除雪費や子育て世帯に商品券を交付する費用など、約103億円を提案した。これによる14年度一般会計の歳出予算の総額は9300億9400万円で、対前年伸び率は3・0%増。

除雪費は12月中旬からの降雪が多く、執行率が2月8日時点で81%に達していることから、今年度の除雪費186億6000万円を上回る見通し。そのため、運搬排雪やパートナーシップ排雪などに充てる費用として62億円を上積みする。

除雪費は昨年の第3回定例市議会で労務単価上昇分など5億6000万円を追加し、今回で2度目。これで除雪費総額は約249億円となり、過去最高の12年度213億円を上回る。

子育て世帯に商品券を配布
また、市内の消費喚起や市民の生活支援のために、10%のプレミアムが付いた1枚1100円分の商品券を千円で販売するほか、15年4月1日時点で18歳未満の子どもが3人以上いる子育て世帯に10枚(1万1千円分)、2人以下の世帯に5枚(5500円分)を無料配布する。

利用できる店舗は現在検討中で、商品券の使用期間は今年8月から来年1月までを予定。発行枚数644万8千枚のうち、販売分は550万枚、配布分は94万8千枚で、これらを合わせた発行・交付総額は約71億円。国の緊急経済対策の交付金事業を活用する。

このほか、2026年冬季オリンピック・パラリンピックの招致に向けた開催計画の策定に1億3600万円、定山渓地区の空き店舗の活用や店舗誘致の促進に700万円なども計上した。


2015年4月6日月曜日

薫風 号外から

地域からつくる《希望》
さっぽろの未来をつくる「市民力」

突然の年末解散総選挙。景気回復の実感は全く無く、市民感覚とは真逆の強権政治が行なわれているにもかかわらず、なぜか自民党が圧勝するという「不思議の国」ニッポン。安倍政権の目玉である「地方創成」と「女性活躍」のメッキは、早くもはがれ始めています。

「地方の時代」といわれて20年。しかし、「構造改革」の名のもとに地域が崩壊し、人が切り捨てられる政治が続いてきました。「沖縄」「福島」とつながる《希望》は、まだ見えないままです。
未来へと歩む軸足を「国家」と「地域」のどちらに置くのかの、せめぎ合いの時代が続く今こそ、「地域発」「市民発」「さっぽろ発」のまちづくりを進めていかなければなりません。

市民力による地方創成を
地方再生の切り札は、地元の雇用を支える「地域産業の育成」です。それには、地方の実情を踏まえた長期的な支援策が必要です。

民主党政権の」「地域一括交付金」は、そんな自治体の声に応えるものでした。しかし、あれこれの成功事例を集め、交付金というえさをバラまいて自治体のしりをたたく―官僚主導の古い手法が復活しそうです。

野放しにされる長時間労働と拡大される派遣労働。労働力として、「産む機械」として女性を都合よく利用する。「一握りの強いものだけが生き残る」という安倍政権の本質が、そこに表わされています。

地域ですでに始まっている新たな可能性への挑戦や、自分たちの暮らしに必要な政策やルールを市民力で創り上げる試み―「地域主権改革」への歩みを全力で進めます。

上田市政をつなぐ、つぎへ
今期限りでの引退を表明した上田文雄市長のスタートは、いわゆる「小泉構造改革」の嵐の真っ只中でした。そして、三期目の選挙戦直前の東日本大震災と福島原発事故。

上田市政は、日本の戦後の歩みが根本から問われる困難な時代の中にあって、「未来を切り開いていくためには、「これまで培ってきた市民自治の取り組みを積み重ね、さらに確かなものとしていく『市民自治の推進』と、札幌の持つ多彩な魅力を磨き高め、世界へ発信する『創造都市の推進』をまちづくりの基本理念として掲げ、全力で取り組む」として、揺るぎのない歩みを続けてきました。
市民とともに創り上げた「まちづくり戦略ビジョン」と「エネルギービジョン」を、着実に次の世代へとつないでいきます。

大都市「さっぽろ」の可能性
超高齢社会と人口減少社会。厳しい未来が予想される中にあって、持続可能な大都市のあり方やその方向性について、しっかりとしたビジョンが必要です。

社会環境の変化に対応した、歩いて暮らせるまちづくりや未来を担う人材育成はもちろん、北海道経済を牽引する役割も期待されています。
「北海道新幹線の札幌延伸」や「冬季オリンピックの招致」が、大都市「さっぽろ」の未来像とかさなり、私たちの希望を実現するものでなければなりません。

大都市は常に再生を図り魅力を高めなければならない宿命も持っています。公共施設の建て替え計画と合わせて、50年後には「市民力」が結集した象徴として語り継がれる事業にしていきたいと思います。

原発0(ゼロ)社会へ
放射性廃棄物の処分や再処理問題を棚上げしたまま、福島原発事故により「原発難民」となった10万人を超える人々の行き先も定まらないまま、安倍政権は原発再稼動への道を突き進んでいます。

自然・再生エネルギーの普及を、意図的に制限したり遅らそうという動きも目立ち始めています。
省エネルギーの実践、再生可能エネルギーの活用、分散型エネルギーの創出などを通して、脱原発依存社会、「環境首都さっぽろ」を目指します。