優勝は西区の『エコロコ!やまべェ誰でも体操』
【市職員が各職場の新しい取り組みや業務改善事例などを発表する「第9回元気の種コレクション(種コレ)」が2月4日に市議会本会議場で行われ、介護予防対策として「札幌初!住民とともにつくる介護予防体操『エコロコ!やまベェ誰でも体操』」を地域住民とともに作り上げた西区保健福祉部保健福祉課保健支援係が優勝した。
この結果に担当者は「地域住民と一緒に西区独自のご当地体操を作ったことが、評価されたと思います」と語った。
今回、体操を作成するにあたっての取り組みと、今後の普及について大嶋薫市議(西区)が西区役所を訪ね、担当者から話を伺った。】
お揃いのやまべェTシャツを着て体操する大島市議と西区保健福祉課の職員 |
いつまでも元気に
大嶋 超高齢社会を前にして、健康寿命や介護予防などに注目が集まり、ウォーキング人口も増えているようです。この体操を作ろうとしたきっかけや目的を聞かせてください。
担当者 高齢者の方にいつまでも元気に過ごしていただきたいとの思いと地域活性化を目的に作成しました。西区の高齢化率は体操を作成した当時(11年度)、全市で3番目に高く、軽度の介護認定者数が全体の認定者数の半数以上を占めていました。
軽度認定者が要介護状態となる原因の半数が関節疾患や骨折・転倒であり、ロコモティブシンドローム(骨、関節、筋肉などの運動器の働きが衰え介護が必要になったり、寝たきりになる可能性が高くなる状態)の予防が重要であると考え、この体操を作りました。この体操をきっかけに、介護予防の普及や、住民が集まる機会も増え、地域のつながりが深まることを期待しています。
介護予防ということを考えると、働く世代の方にも実践していただきたいですね。それが将来、西区の介護率低下にもつながると思います。
大嶋 外に出る機会が少ない高齢者が多くなり、特に冬は散歩の機会も減ります。健康を保つためには体を動かすことが大切です。この体操にはどのような特徴がありますか。
担当者 どこでも気軽にできるご当地体操です。約7分間の体操ですが、西区のエコキャラクター「さんかくやまベェ」をモチーフに、寝たきりなどの要因となる足腰の筋力低下に着目をしてスクワットを取り入れたほか、ストレッチやバランス感覚を磨く要素も盛り込んでいます。体操の効果が表れるようにと、札幌医科大学の古名丈人教授に監修していただきました。
また西区琴似はジャズイベントが多いので、作曲家のSaKiさんにお願いをして体操の音楽にジャズ要素を取り入れました。
介護予防体操は、全体の動きもゆっくりですので小さな子どもから高齢者まで幅広い世代に楽しんでいただけます。
体操のネーミングの「エコ」は、西区のエコキャラクター「さんかくやまベェ」と西区が環境推進区であることから、「ロコ」はロコモティブシンドロームを予防しようという思いから名づけられました。
高齢者の元気と地域活性化を目的に作成したと語る関係長(左)と菊地課長(中央) |
区民ととも手がける
大嶋 作成の過程には、専門家の協力も得てということですが、地域住民にも積極的に参加していただいたそうですね。
担当者 はい。はじめから区民とともに作ることを考えていましたので、ワーキング会議には、介護予防センターや地域の健康サークル、老人クラブの方などに参加してもらいました。また3月に完成予定のPR用DVDにも、山の手高校のラグビー部や西区役所に職業実習で訪れた中学生、介護予防センターの教室に通う高齢者など、多くの区民に出演いただいております。
大嶋 この体操が徐々に普及し、町内のイベントや地域の集会で取り入れてもらえるといいですよね。積極的に体操を広げていくために、地域における体操指導員の養成講座を開いたようですが、来年度はさらに人数を増やしていくのですか。
担当者 そう考えています。今年度は養成講座を2回実施しましたが、初めてということもありワーキング会議のメンバーが中心でした。体操は区民の手で広めていただくことを目標にしていますので、来年度は一般公募をして指導員を増やしていきたいです。
やまベェ体操全国へ
担当者 「種コレ」のような発表会が、全国複数の自治体で実施されていて、3月28日に福岡で全国大会が開かれます。今、それに向けて準備を進めています。
大嶋 全国大会で札幌市西区の代表チームとしてしっかりアピールをしてきて下さい。テレビ局の取材や他都市からの問い合わせも多いようで、全市はもとより全国に波及していくといいですね。今後の普及や地域のネットワークづくりには、行政や区役所で働く皆さんの力が欠かせませんし、区民の皆さんとも力を合わせて進めていくことが大切です。これからの皆さんの活躍に期待しています。
※『エコロコ!やまベェ誰でも体操』についての問い合わせは、西区保健福祉部保健福祉課へ TEL 641-6946
種コレって?
「種コレ」は、札幌市職員のアイデアや発想、工夫を、札幌を元気にする「種」と見立て、その「種」を共有し、ほかの職場でも取り入れるきっかけとするための発表会で、05年から行われている。
今年は「役所を彩るあなたのアイデア」をテーマに、各職場を代表して11チームが参加したほか、特別企画として、苫小牧市、旭川市、本市と観光・文化交流都市協定を締結する松本市(長野県)からゲストを招いて行われた。
発表会では、ごみの違反排出や散乱などのゴミステーション問題の解決に向けた取り組みや、エネルギーの見える化の実施による省エネの支援、高校生の職場体験学習として予算編成を体験するためのシュミレーションを行ったことなどが発表された。
また苫小牧市は「職場独自の災害対応マニュアルの整備及び職員防災研修の実施」について、旭川市は「自治体ネットワークで余剰電力収入増加!」、松本市からは、健康に関連する施策を積極的に展開することをめざすチーム「Kプロジェクトの取り組みについて」が紹介された。