2010年11月29日月曜日

薫風 号外

大島かおるの市議会リポート

上田市政を一歩前へ
試される市民の力
昨年8月の劇的な政権交代から1年あまりが経ちました。しかし、鳩山政権から菅政権へとバトンが引き継がれてなお、民主党政権をとりまく状況は厳しいものがあります。7月の参議院選挙、10月の衆議院5区補欠選挙の結果には、「政治とカネ」の問題にとどまらず、「政権が目指す未来像が見えない」「政治主導と言いながらリーダシップが発揮されていない」という現状への苛立ちが表われています。
しかし、「政権交代」は、いわば歴史の必然でもありました。いま、社会のシステムや経済・産業構造の根本的な転換が求められており、民主党はその使命と責任を負わされたのだと思います。その自覚のもとに、この間の国民の審判を率直に受け止めて、次への一歩としていきたいと決意を新たにしています。

さて、来年4月10日は統一自治体選挙。私も皆さんからの審判を仰ぐことになります。

「民主党政権」を先取りして「市民自治が息づくまちづくり」を進めてきた上田市政を、さらに大きく飛躍させていかなければなりません。引き続きのご支援をよろしくお願いいたします。

地域主権へ
国の最大の役割は、税の公平な分配にあるといえます。しかし、自民党の長期政権の下、大型公共事業や業界団体が生む利権によって配分がゆがめられ、既得権益化し、中央官庁が肥大化しました。福祉や教育、環境といった市民にとって最も身近なサービスさえも、国からの補助金次第といういびつな構造が作られました。そして、私たちは、利権や補助金を得るための膨大なコスト(企業献金や陳情行政)を払わせられています。
このような構造を根本から断ち切り、国のあり方そのものを変えていく大きな手がかりが「地域主権改革」です。これまで、補助金や交付金は自治体の手足を縛るとともに、国に対する依存体質を強めてきました。私たち自身も地域に根ざした、新たな自立への道を創り上げていかなければなりません。

議会改革
いわゆる「改革派知事」が果たした役割は大きいものがありますが、最近はパフォーマンスと人気だけを頼りに、議会を敵視し、独裁に近い権力を欲しがる「エセ改革派」が目立っています。一方、議会の側も「ゴリ押ししてでも住民要求を通す偉いセンセイ」から「公開と参加により政策立案を行い市民自治を実現する一市民」への脱皮が迫られています。いたずらに対立をあおるのではなく、課題を明らかにして解決への道筋を、議論を重ねて作り上げていく役割が求められています。
 札幌市議会においても、議会改革検討委員会を設置して多くの改革を実現するとともに、「議会基本条例」の制定に向けて課題を整理し、さらに市民の負託に応える努力を続けています。民主主義の基本である議会が、市民にとってより身近な存在となるよう歩みを進めていきます。

市民評価(事業仕分け)のその後
今年6月に、行政評価制度の一環として行われた札幌市の「事業仕分け」では、対象とされた89事業のうち、不要14、廃止を含む見直し17、見直し44、効果の検証が必要5、現行どおり9という厳しい判定が下されました。また、対象とされた事業は市民や事業者と直接かかわりのある事業であることから、7月から8月に行われた「市民評価の結果に対する市民意見の募集」には約1400人から1600件もの意見が寄せられ、関心の高さが示されています。
 一方、国の事業仕分けと異なり、札幌市では2005年から行政評価制度を導入しており、議会でも、予・決算の特別委員会などを通じて、一つ一つの事業の成果や課題について議論を積み重ねてきました。機器や設備が老朽化している、事業そのものの目的が不透明、時間の経過とともに役割が変化しているなど、評価の視点も事業によって異なっており、市民参加を一層進めようとする市民評価の結果を真摯に受け止めるとともに、利用者や事業者の意見も踏まえ議会としての考えを示していかなければなりません。

姉妹都市交流と外交問題
札幌市と中国・瀋陽市は今年、姉妹都市提携30年を迎え、8月下旬から市民訪問団を含めて約200人が瀋陽市を訪問し、今後の友好・交流事業の発展を確認しました。自治体や民間でのこのような積み重ねが、教科書問題や、靖国参拝、歴史認識など、国レベルでの多くの障害を乗り越える原動力になってきたといえます。
そして、尖閣諸島沖での中国漁船々長の逮捕と保釈を巡る、日本と中国双方の混乱。外交レベルでの交渉の適否はおくとしても、政府の対応に苛立ちを感ずる人は多いのではないでしょうか。そもそも、「尖閣諸島は日本固有の領土である」「国内法にもとづく断固たる処置を」とこぶしを振り上げるだけでは、何の問題の解決にならないのは明らかです。反日デモを繰り返し報道するマスコミも、その背景にある失業や経済格差についての言及はありません。
 「国益」とか「売国」などの勇ましい主張に、どうしても気持ちがなびいてしまう私たちですが、「戦略的互恵関係」を創り上げるためには、相手の置かれている状況を見極める冷静さと、粘り強く交渉を続ける勇気、これまでの歴史を生かす「知恵」が求められているといえます。