2005年7月23日土曜日

元気な街さっぽろへ 上田市政、いよいよ折り返し

初夏の爽やかな風に乗って催される「よさこいソーラン祭り」「北海道神宮例大祭」が終わり、いよいよ本格的な夏支度。大雪と5月の低温で生育の遅れが心配された農作物も、6月の好天で元気を取りもどしたようです。第2回定例議会は6月13日に終了しましたが、昨年より1カ月早く6月1日から「エコスタイル」を実施。リラックスして仕事の能率も上がるのですが、気が緩んで議会での緊張感までがなくなったと言われないよう、心しなければなりません。

息づく「市民自治」



上田市政もいよいよ任期の折り返し点を迎えました。市民との情報の共有、市民意見の政策反映、市民との協働の推進の三本柱で進められてきた「市民自治」。地域のまちづくりセンターを中心に、35のまちづくり協議会と131の新たな取り組みが生まれ、これまでの活動がさらに広がり根づき始めています。

上田市長が政策として掲げた公約は129項目。そのうち31項目についてはすでに達成され、着手されている残りの公約の確実な実行が、残り2年間の課題となります。

目標達成は厳しいと思われる「みどり30%アップ」などの環境政策、見通しがついたとされる「500億円元気基金」「200億円の節約」など、「新まちづくり」「市民自治推進」「市役所改革」の3つの元気プランを柱に実現を目指します。

持続可能な財政へ



税収が伸びない。補助金・交付金が減らされる。福祉・環境・雇用などの新たな政策課題。家計にたとえると、ベースアップは据え置き、不況で残業代は減らされ、ローンは払わなければならない、子どもの教育費はかさみ、老後やいざという時のための蓄えも心配。全ての自治体がこんな悩みを前に苦闘を続けています。

事業の効果的な実施のために、成長期についた贅(ぜい)肉を落とす。増え続ける収入を「あれもこれも」に分配する旧来のあり方を、あれかこれか」を選択する仕組みに変える。必要な事業のためには制度や負担のあり方を見直して財源を生み出す。

そんな持続可能な財政構造に転換するためにも「市民自治」は必要不可欠な道具です。

すでに、建設・土木などのいわゆる公共事業関連予算は、最盛期の60%にまで絞り込まれ、職員数も政令市では最低レベルになっています。

乾いたタオルをさらに絞るような努力とともに、1+1が3にも5にもなるような知恵を集め、実現するネットワークを創り上げていかなければなりません。 次世代への素敵なプレゼントが残せるように…。

(薫風第19号より)

今年の西区

2005 かがやけコトニ 屯田兵の里まつり

『三角山の麓「コトニ」から わたしたちは昔を温(たず)ね 今を知り 未来を創る』 こんな合言葉のもと、8月27日から9月4日まで、屯田兵入村130周年を記念してのまちづくりイベントが行われます。

NPO、町内会、商店街、郵便局、JR、小学校、区役所などがそれぞれの知恵と力を出し合って、芝居、パネル展、ジャズコンサート、パレードなど20以上の多彩な催しが企画されています。単なるイベントで終わらせることなく、地域の連帯感を高め地域のまちづくりと歴史・文化の継承につなげるため、相談役の名刺を片手に宣伝に努めます。

地球に優しいまちづくり

環境問題への取り組みは西区の重点政策です。これまでも発寒川の清掃・ヤマメの放流やアダプトプログラムなど市民参加のモデルとなる取り組みが進められてきましたが、子どもたちによる自然観察隊や環境マップ作成、木質バイオマス燃焼器(ペレットストーブ)の試験導入、旧国道5号線のフラワー道路づくりなどの新たな事業が始まります。

また、08年度を目標に進められている五天山総合公園計画ではセンターハウス、パークゴルフ場、駐車場などの整備が行われるほか、たかやま公園(発寒6条4丁目)・発寒しらかば公園(発寒6条12丁目)では遊具・トイレ・芝生などの全面改修が、福井ひまわり公園(福井5丁目)・八軒ひまわり公園(八軒10条東5丁目)・西野セキレイ公園(西野10条7丁目)では福祉のまちづくり事業での改修が行われます。

まちづくりの拠点整備


  • 昨年度、公募委員等による建設検討委員会で論議を進めてきた、西区で3番目、全市で23番目となる(仮称)八軒中央地区センターが、来年4月の竣工を目指して開設準備に入ります。

  • より良い子育て環境のためにも待機児童の解消が望まれる西区。定員拡大が望まれていた下手稲通り北地区(八軒7条西2)に、定員120人の(仮称)八軒さくら保育園が新築されます。また、地域型子育てサロンが新たに3会場でスタートします。

  • 障がい者の社会参加のなかでも重点課題である、日中活動の場の確保。知的障害者通所授産施設「ともに」(定員30人)が、発寒14条14丁目に開設します。

(薫風第19号より)

環境委員会から

ポイ捨て条例いよいよスタート

昨年12月に制定された「タバコの吸殻及び空き缶等の散乱の防止等に関する条例」、いわゆる「ポイ捨て条例」が、8月1日から実施に移されます。今議会には、指導員配置等6百万円、看板及び路面シールの制作・設置5百万円、広報費2千万円、地域普及活動支援百万円、合計3千2百万円の補正予算が提案され、可決されました。条例の審査の中では、歩きタバコと吸殻のポイ捨てが焦点となりましたが、空き缶やガム、包装容器などの散乱も目に余るものがあります。

本来、市民が最低限守るべきルールであり、普段からの「心がけ」によって解決しなければならない課題ですが、もはやモラルやマナーに頼るだけでは限界があるとの判断から、条例制定にいたりました。実効性を持たせるため、10月1日からは重点地域を設定し、その地域内では違反者に「罰則=過料(千円)」を適用することになります。重点地域の範囲、札幌市民はもちろん、買い物や観光で訪れる人への広報体制、地域の協力など、残されている多くの課題にもしっかりと取り組みます。

家庭ごみ有料化は是か非か

昨年策定された財政構造改革プランの中で検討課題として掲げられた「家庭ごみ有料化」問題。いわば古くて新しい問題でもあります。板垣元市長が誕生した34年前に、選挙の最大の争点とされて「無料化」への転換が行われました。しかし、国は93年に環境基本法を制定して循環型社会を目指す枠組みの整備を開始し、環境政策や市民の環境意識は近年、大きく変化しています。

札幌市も95年に「環境基本条例」を制定、00年にはゴミの発生抑制やリサイクルの促進を目的とした「さっぽろごみプラン21」を策定し、プラスチックごみの分別収集・リサイクルもいち早く実施するなど、積極的な取り組みを行ってきました。03年には「さっぽろごみプラン21」に掲げられた施策のうち、強化、充実、改善すべき点について自由に議論・討議して今後の検討に活かすとして「さっぽろごみゼロ会議」を設置。昨年12月の報告を受けて、今年4月「廃棄物減量等推進審議会」への諮問が行われました。

「無料が当たり前」という制度に慣れ親しんできた私たちにとって、「有料化」は新たな社会ルールを導入することでもあります。収集・リサイクルの費用増や新たな埋立処分施設の取得などの財政負担が予想されますが、発生抑制を促す施策や情報の共有、法改正の動きなどの課題についての十分な検討、そして市民論議が必要と考えます。

(薫風第19号より)

一衣帯水の国、中国と向き合う

「政冷経熱」と言われ、「靖国問題」が歴史認識を問い続け、「反日デモ」への対応が日本と中国双方の苛立ちを深める。中国=危険そして嫌いというイメージが蔓延する中、国交回復以前から40年にわたって民間交流を行っている日中友好協会の仲間とともに、上海、桂林、陽朔、広州、深圳を訪れる機会を得た。

2010年の万国博覧会開催に向け、バブル期の東京を思わせる開発ラッシュの上海。水墨画の世界と巨大な鍾乳洞を中心に国際観光都市としてにぎわう桂林。灕江下り終着点の陽朔ではサッカーボールと学用品のプレゼントを携えて老梧希望小学校を訪問し、子どもたちと交流。古くからの交易都市である落ち着いた街並みの広州。広東省人民対外友好協会への公式訪問では、黄子強会長らの歓迎を受ける。広州と香港に挟まれ新興都市として発展する深圳。ほんの一部ではあれ、現代中国を肌で感じ、かいま見る実りの多い旅となった。驚異的なスピードで進められる都市の近代化と、時代から取り残されたかのように貧しくゆっくりとした時を刻む農村部。しかし、ここ数年の国内旅行ブームは、高速道路や航空網の整備とともに、農家の所得水準を着実に押し上げていることを示している。市場経済への移行に伴う様々な矛盾を抱えながらも、アジアの超大国へと歩みを進める熱い息吹きは、私たち訪れる者を圧倒する。

1972年にようやく国交が回復してから30有余年、一衣帯水(一筋の帯のように細く長く続く川や海峡を隔てて隣り合う関係)―中国と日本の関係はこのようにたとえられてきた。めまぐるしい発展と変貌を遂げる中国と、停滞を余儀なくされている日本。 56民族、13億人の人口を擁し、10年後には日本をしのぐ経済力をつけることが予想される中国は今、その成長を背景に日本との対等な関係を求め始めているのではないだろうか。

靖国問題をはじめとする歴史認識、安全保障理事国入りをめぐる軋轢(あつれき)、「政府首脳の言動に驕(おご)りはないのか」「アジアの平和と安定に何をもって寄与するのか」―アジア各国の指導者たちは、圧倒的な経済力によってアジアの覇者として振る舞ってきた日本に対する苛立ちを率直に表現し始めている。単独行動主義に傾斜するアメリカ一辺倒の外交政策を踏襲して世界の孤児となるのか、アジアの仲間として共通の目標をつくりあげる粘り強い努力を積み重ねて、日本国憲法前文にある「名誉ある地位を占める」ことを目指すのか。私たちの針路が問われている。

(薫風第19号より)