2005年12月10日土曜日

サラリーマン定率減税廃止反対



12月6日「サラリーマン定率減税廃止反対」を訴え、地下鉄琴似駅前での早朝街宣。法人税減税と、所得税の最高税率はそのままにしての、サラリーマン狙い撃ちの「実質増税」は許せません。

2005年11月21日月曜日

コラム 七竈(4)

在日米軍基地の再編問題が、大きな政治課題として浮上してきた。しかし、沖縄に集中する基地問題に対する政府の対応は、常に「県民の怒りと悲しみ」を裏切り続けてきた。何故か? その実態は「分散強化」に他ならなかったからだ。

八年前、海兵隊による県道越えの百五十五㍉榴弾砲実弾訓練が、矢臼別をはじめ国内五ヵ所の演習場に移転された。訓練日数が増え、夜間演習も行われるようになった。移転元の沖縄県金武町には、都市型ゲリラ訓練施設が新設された。

漁民中心の反対運動で暗礁に乗り上げている、普天間基地の辺野古沖移設が訓練の強化をもたらすものであることを、沖縄県民は本能的に感じ取っている。

痛みを押しつける側の権力者が言う「痛みを分かち合う」は、いつもうさんくさい。

(機関紙民主党さっぽろ415号から)

コラム 七竈(3)

拝啓 前原誠司様

小泉「劇場」選挙の敗戦を受けた代表選挙で、民主党の舵取り役に就任されたあなたに、少しばかりの苦言を添えて連帯のメッセージを送ります。一つは、小泉政権の示す改革テーマに足並みを揃えすぎて足元をすくわれないように。私たちの目指す社会は、小泉改革の対極にあるという明確な理念が必要です。二つは、改憲論議に前のめりにならないように。世界からの信頼をつなぎ止めるために私たちがアジア地域の平和と安全保障に果たすべき役割は、海外派兵でもミサイル防衛でも制裁でもないはずです。三つは、永田町(国会議員)の議論のみで物事を判断しないように。地域には多様な声があり、分権と自治を目指す民主党にふさわしい政策決定の仕組みが求められています。敬具 (大嶋薫)

(機関紙民主党さっぽろ411号から)

コラム 七竈(2)

郵政民営化関連法案を巡って国会情勢が白熱している。議論ではなく、自民党内での鞘当てが連日マスコミをにぎわしているのが実情だ。小泉首相の答えは決まって「民間で可能な事業は民間へ」ということだが、公共サービスの規制緩和(=民間開放)にあたっての説明責任は果たされていない。

つい最近の世論調査でも、「進める必要がない」28・8%、「議論を尽くすべき」43・3%となっており、国民の理解は得られていない。民営化後の姿が一向に明らかにされずに、不安と不信だけが大きくなっている。

小泉人気(?)にあやかり、ミニ小泉を気取って10年遅れのサッチャリズムを追いかけている輩(やから)たちよりも、抵抗勢力とのレッテルを張られながら反対を唱えている議員のほうに十分理があると思うのだが。

(機関紙民主党さっぽろ406号から)

コラム 七竈(1)

旅の楽しみの一つは、思いがけない出会いや発見があることだ。日韓友好議員連盟の視察団として韓国を訪問。日本では飛鳥時代に百年間ほど百済(くだら)王朝の都があった韓国・公州市でのことである。

一つは流暢な日本語で解説していただいたボランティアガイドさん。武寧王陵では2時間にわたり、お連れ合いが大学の先生という女性に、国立公州博物館では1時間ほど、日本語の基礎は戦争中に習得したと思われる高齢の男性にお世話になった。もう一つは「脱北者」の団体との遭遇。韓国社会での生活に慣れるよう、定期的に歴史や文化を学ぶプログラムを実施しているという。

テレビを通して流される情報とは異なる体験をする。見て、聞いて、感ずることで隙間や空白を埋めることも、ヒトに与えられた知恵の一つなのだろう。

(機関紙民主党さっぽろ401号から)

上田市長に党と会派が予算要望

民主党札幌と民主党・市民の会は10月25日、上田文雄市長に対して、2006年度の予算編成に向け、「国や道と連携したアスベスト除去対策」や「市民会館の建て直し」などを盛り込んだ政策要望書を提出した。政策要望は03年の統一自治体選挙の公約「わたしたちの描く未来の札幌~自治新時代への挑戦」をベースにしたもので重点要望36項目を含む計140項目からなる。上田市長に要望書を手渡した西村会長は「市民生活に直結する課題を重点要望としてとりまとめた。厳しい財政状況下での予算編成となるが、最優先課題を厳選して、実現に向けて努力して欲しい」と述べた。重点要望では老朽化が進む市民会館の早期建て直しやアスベスト対策の他、地域特性を考慮した政策入札制度の導入などを求めた。

2006年度の重点施策要望は次の通り。

財政
  1. 自主財源の確保と未納対策の強化

  2. 公契約条例の制定に向けた取り組み強化

  3. 不要な土地処分を含めた財産収入の確保

  4. 納税額や除雪事業などに貢献したことを加味する政策入札制度の実現

市役所改革
  1. 出資団体改革の推進

  2. 個人情報保護対策の充実

  3. 地方分権の推進と庁内分権の確立

経済・雇用・観光
  1. 冬期間の雇用対策の充実

  2. 雇用創出型企業の立地促進に向けた対策強化

  3. 休耕地を活用した都市型農業の充実

  4. 観光資源を活かした体験・参加型観光の充実

除雪・防災
  1. 除雪事業の質的向上と財源の確保

  2. 冬期間や大洪水に対応した地域防災計画の充実

  3. 公共施設の耐震強化の推進

保健・福祉
  1. 医療事故防止に向けた医療安全推進協議会の設置

  2. 社会的「引きこもり者」に対する支援事業の実施

  3. 児童・高齢者の虐待防止対策の強化

  4. 職域におけるメンタルヘルス対策の充実

  5. 障害者が安心して地域で暮らせる自立支援の推進

環境・みどり・水
  1. 産学官連携による生ごみのバイオマス化と未利用エネルギー有効活用

  2. 植樹運動の拡大によるみどりの創出

  3. 二酸化炭素削減に向けた取り組み強化

  4. 地下鉄への自転車乗り入れ実証実験の拡大

  5. 国や道と連携したアスベスト除去対策の強化

子ども
  1. 保育園の待機児童の解消

  2. 市独自の少子化対策の取り組み強化

  3. 円山動物園の魅力アップに向けた遊園地の分離

  4. まちづくりセンターにおける子育て支援対策の充実

  5. 幼保一元化の実現

教育
  1. 少人数学級の対象を中学校1年生まで拡大

  2. 教員採用試験及び校長登用試験の抜本的見直し

  3. 期限付き教職員の本採用拡大

芸術 文化 スポーツ
  1. 生涯スポーツの普及と環境整備

  2. 芸術、文化活動の支援強化

  3. 市民会館の早期建て直し

平和
  1. 国連軍縮会議の誘致

(機関紙 民主党さっぽろから)

2005年7月23日土曜日

元気な街さっぽろへ 上田市政、いよいよ折り返し

初夏の爽やかな風に乗って催される「よさこいソーラン祭り」「北海道神宮例大祭」が終わり、いよいよ本格的な夏支度。大雪と5月の低温で生育の遅れが心配された農作物も、6月の好天で元気を取りもどしたようです。第2回定例議会は6月13日に終了しましたが、昨年より1カ月早く6月1日から「エコスタイル」を実施。リラックスして仕事の能率も上がるのですが、気が緩んで議会での緊張感までがなくなったと言われないよう、心しなければなりません。

息づく「市民自治」



上田市政もいよいよ任期の折り返し点を迎えました。市民との情報の共有、市民意見の政策反映、市民との協働の推進の三本柱で進められてきた「市民自治」。地域のまちづくりセンターを中心に、35のまちづくり協議会と131の新たな取り組みが生まれ、これまでの活動がさらに広がり根づき始めています。

上田市長が政策として掲げた公約は129項目。そのうち31項目についてはすでに達成され、着手されている残りの公約の確実な実行が、残り2年間の課題となります。

目標達成は厳しいと思われる「みどり30%アップ」などの環境政策、見通しがついたとされる「500億円元気基金」「200億円の節約」など、「新まちづくり」「市民自治推進」「市役所改革」の3つの元気プランを柱に実現を目指します。

持続可能な財政へ



税収が伸びない。補助金・交付金が減らされる。福祉・環境・雇用などの新たな政策課題。家計にたとえると、ベースアップは据え置き、不況で残業代は減らされ、ローンは払わなければならない、子どもの教育費はかさみ、老後やいざという時のための蓄えも心配。全ての自治体がこんな悩みを前に苦闘を続けています。

事業の効果的な実施のために、成長期についた贅(ぜい)肉を落とす。増え続ける収入を「あれもこれも」に分配する旧来のあり方を、あれかこれか」を選択する仕組みに変える。必要な事業のためには制度や負担のあり方を見直して財源を生み出す。

そんな持続可能な財政構造に転換するためにも「市民自治」は必要不可欠な道具です。

すでに、建設・土木などのいわゆる公共事業関連予算は、最盛期の60%にまで絞り込まれ、職員数も政令市では最低レベルになっています。

乾いたタオルをさらに絞るような努力とともに、1+1が3にも5にもなるような知恵を集め、実現するネットワークを創り上げていかなければなりません。 次世代への素敵なプレゼントが残せるように…。

(薫風第19号より)

今年の西区

2005 かがやけコトニ 屯田兵の里まつり

『三角山の麓「コトニ」から わたしたちは昔を温(たず)ね 今を知り 未来を創る』 こんな合言葉のもと、8月27日から9月4日まで、屯田兵入村130周年を記念してのまちづくりイベントが行われます。

NPO、町内会、商店街、郵便局、JR、小学校、区役所などがそれぞれの知恵と力を出し合って、芝居、パネル展、ジャズコンサート、パレードなど20以上の多彩な催しが企画されています。単なるイベントで終わらせることなく、地域の連帯感を高め地域のまちづくりと歴史・文化の継承につなげるため、相談役の名刺を片手に宣伝に努めます。

地球に優しいまちづくり

環境問題への取り組みは西区の重点政策です。これまでも発寒川の清掃・ヤマメの放流やアダプトプログラムなど市民参加のモデルとなる取り組みが進められてきましたが、子どもたちによる自然観察隊や環境マップ作成、木質バイオマス燃焼器(ペレットストーブ)の試験導入、旧国道5号線のフラワー道路づくりなどの新たな事業が始まります。

また、08年度を目標に進められている五天山総合公園計画ではセンターハウス、パークゴルフ場、駐車場などの整備が行われるほか、たかやま公園(発寒6条4丁目)・発寒しらかば公園(発寒6条12丁目)では遊具・トイレ・芝生などの全面改修が、福井ひまわり公園(福井5丁目)・八軒ひまわり公園(八軒10条東5丁目)・西野セキレイ公園(西野10条7丁目)では福祉のまちづくり事業での改修が行われます。

まちづくりの拠点整備


  • 昨年度、公募委員等による建設検討委員会で論議を進めてきた、西区で3番目、全市で23番目となる(仮称)八軒中央地区センターが、来年4月の竣工を目指して開設準備に入ります。

  • より良い子育て環境のためにも待機児童の解消が望まれる西区。定員拡大が望まれていた下手稲通り北地区(八軒7条西2)に、定員120人の(仮称)八軒さくら保育園が新築されます。また、地域型子育てサロンが新たに3会場でスタートします。

  • 障がい者の社会参加のなかでも重点課題である、日中活動の場の確保。知的障害者通所授産施設「ともに」(定員30人)が、発寒14条14丁目に開設します。

(薫風第19号より)

環境委員会から

ポイ捨て条例いよいよスタート

昨年12月に制定された「タバコの吸殻及び空き缶等の散乱の防止等に関する条例」、いわゆる「ポイ捨て条例」が、8月1日から実施に移されます。今議会には、指導員配置等6百万円、看板及び路面シールの制作・設置5百万円、広報費2千万円、地域普及活動支援百万円、合計3千2百万円の補正予算が提案され、可決されました。条例の審査の中では、歩きタバコと吸殻のポイ捨てが焦点となりましたが、空き缶やガム、包装容器などの散乱も目に余るものがあります。

本来、市民が最低限守るべきルールであり、普段からの「心がけ」によって解決しなければならない課題ですが、もはやモラルやマナーに頼るだけでは限界があるとの判断から、条例制定にいたりました。実効性を持たせるため、10月1日からは重点地域を設定し、その地域内では違反者に「罰則=過料(千円)」を適用することになります。重点地域の範囲、札幌市民はもちろん、買い物や観光で訪れる人への広報体制、地域の協力など、残されている多くの課題にもしっかりと取り組みます。

家庭ごみ有料化は是か非か

昨年策定された財政構造改革プランの中で検討課題として掲げられた「家庭ごみ有料化」問題。いわば古くて新しい問題でもあります。板垣元市長が誕生した34年前に、選挙の最大の争点とされて「無料化」への転換が行われました。しかし、国は93年に環境基本法を制定して循環型社会を目指す枠組みの整備を開始し、環境政策や市民の環境意識は近年、大きく変化しています。

札幌市も95年に「環境基本条例」を制定、00年にはゴミの発生抑制やリサイクルの促進を目的とした「さっぽろごみプラン21」を策定し、プラスチックごみの分別収集・リサイクルもいち早く実施するなど、積極的な取り組みを行ってきました。03年には「さっぽろごみプラン21」に掲げられた施策のうち、強化、充実、改善すべき点について自由に議論・討議して今後の検討に活かすとして「さっぽろごみゼロ会議」を設置。昨年12月の報告を受けて、今年4月「廃棄物減量等推進審議会」への諮問が行われました。

「無料が当たり前」という制度に慣れ親しんできた私たちにとって、「有料化」は新たな社会ルールを導入することでもあります。収集・リサイクルの費用増や新たな埋立処分施設の取得などの財政負担が予想されますが、発生抑制を促す施策や情報の共有、法改正の動きなどの課題についての十分な検討、そして市民論議が必要と考えます。

(薫風第19号より)

一衣帯水の国、中国と向き合う

「政冷経熱」と言われ、「靖国問題」が歴史認識を問い続け、「反日デモ」への対応が日本と中国双方の苛立ちを深める。中国=危険そして嫌いというイメージが蔓延する中、国交回復以前から40年にわたって民間交流を行っている日中友好協会の仲間とともに、上海、桂林、陽朔、広州、深圳を訪れる機会を得た。

2010年の万国博覧会開催に向け、バブル期の東京を思わせる開発ラッシュの上海。水墨画の世界と巨大な鍾乳洞を中心に国際観光都市としてにぎわう桂林。灕江下り終着点の陽朔ではサッカーボールと学用品のプレゼントを携えて老梧希望小学校を訪問し、子どもたちと交流。古くからの交易都市である落ち着いた街並みの広州。広東省人民対外友好協会への公式訪問では、黄子強会長らの歓迎を受ける。広州と香港に挟まれ新興都市として発展する深圳。ほんの一部ではあれ、現代中国を肌で感じ、かいま見る実りの多い旅となった。驚異的なスピードで進められる都市の近代化と、時代から取り残されたかのように貧しくゆっくりとした時を刻む農村部。しかし、ここ数年の国内旅行ブームは、高速道路や航空網の整備とともに、農家の所得水準を着実に押し上げていることを示している。市場経済への移行に伴う様々な矛盾を抱えながらも、アジアの超大国へと歩みを進める熱い息吹きは、私たち訪れる者を圧倒する。

1972年にようやく国交が回復してから30有余年、一衣帯水(一筋の帯のように細く長く続く川や海峡を隔てて隣り合う関係)―中国と日本の関係はこのようにたとえられてきた。めまぐるしい発展と変貌を遂げる中国と、停滞を余儀なくされている日本。 56民族、13億人の人口を擁し、10年後には日本をしのぐ経済力をつけることが予想される中国は今、その成長を背景に日本との対等な関係を求め始めているのではないだろうか。

靖国問題をはじめとする歴史認識、安全保障理事国入りをめぐる軋轢(あつれき)、「政府首脳の言動に驕(おご)りはないのか」「アジアの平和と安定に何をもって寄与するのか」―アジア各国の指導者たちは、圧倒的な経済力によってアジアの覇者として振る舞ってきた日本に対する苛立ちを率直に表現し始めている。単独行動主義に傾斜するアメリカ一辺倒の外交政策を踏襲して世界の孤児となるのか、アジアの仲間として共通の目標をつくりあげる粘り強い努力を積み重ねて、日本国憲法前文にある「名誉ある地位を占める」ことを目指すのか。私たちの針路が問われている。

(薫風第19号より)

2005年5月2日月曜日

第74回 全道メーデー



札幌パートユニオンのメンバーと

厚生常任委員会から

介護保険のゆくえ

2000年のスタートから5年を経過して制度の見直しが行われている。第2号被保険者を20歳まで引き下げて財源の安定をはかろうとした厚生労働省案は、介護保険への統合に反対する障害者団体と新たな負担を拒む経済団体の挟み撃ちに会い先延ばしとなった。そして、現在国会に上程されている改革案では

  1. 予防重視型システムへの転換

  2. 施設給付の見直し

  3. 新たなサービス体系の確立

  4. サービスの質の向上

  5. 負担のあり方・制度運営の見直し

これらが挙げられている。

介護保険会計は、札幌市でも毎年10パーセント程度の伸びを示してきた。スタート時には555億円であった予算は、来年度842億円となる。当然、保険料が値上げされ自治体、国それぞれの負担分も増加してきているが、高齢社会を支える制度として定着してきているのは間違いない。制度上、財源の5割を負担することになっている国が財政圧縮に向かっている中、政策形成に市民が積極的に参加し創り上げてきた「介護の社会化」の行方そのものが問われている。

市民は負担の増加に反対しているのか

税金から社会サービスまで、あらゆる分野で負担増の議論が行われている。しかし、租税負担と社会保障負担を合わせた国民負担率をみると、日本は約 38%。これは米国と同水準で、イギリス・フランスは50%、北欧諸国は約70%となっている。一方、内閣府が実施した「年齢・加齢に対する考え方」と題する意識調査では、将来の社会保障の給付と負担の関係について「水準維持・負担増」が約6割となっている。

介護を必要とする状態になっても安心して生活できる社会制度を創るために、負担や責任を引き受けると考える市民は、間違いなく増えているのではないだろうか。

問われる介護予防給付

要支援や要介護1の人に利用される「生活援助」が予想以上に広がり、かつ期待された予防効果が上がっていない―これが筋力トレーニングや栄養指導などの新予防給付を導入する理由である。

介護保険制度は、各種の介護サービスを利用して高齢者が自分らしい自立した生活を実現するという理念のもとに創られた。不十分なケアプランや地域での自立を支える仕組みの未熟さを問わずに、効果のはっきりしないサービスを導入して利用を抑制しようとするのは、明らかに理念に反するのではないだろうか。5年を経ていまだに施設志向が強い現状を踏まえ、在宅支援に重点を置いた改革が望まれる。

住居費と食費のなぞ

在宅と施設の利用者負担の公平性を保つために、施設利用者の居住費用や食費を自己負担とする―その理由は「欧米諸国では、施設入所者の居住費用や食費は自己負担が原則である」としている。しかし、基本的な生活条件の違いを見ると唖然とさせられる。北欧では個室が90%を越え、ドイツでは約50%、残りは二人部屋である。トイレやシャワーも専用で、食事も好きなメニューを選べるバイキング方式が多い。日本は4人部屋が75%、トイレ・風呂は共同、食事のメニューも時間も決められている。さらに、年金制度の格差も歴然としている。こんなギャップを隠したまま、都合のいい論理のみで一方の負担を引き上げる。騙(だま)されないようにしなければ。

高齢者虐待の防止へ向けて

昨年夏、勇気ある内部告発によって明らかになった、特別養護老人ホームでの虐待問題。二度にわたって開かれた厚生委員会での厳しい指摘を踏まえて、札幌市は異例とも言える「改善命令」を行い、施設側からはこれに対する「措置結果報告書」が提出された。その後、保健福祉局では2回の確認調査を行い、改善に向けての体制が整いつつあるとされている。

しかし、最近の新聞報道によっても、介護施設職員の3割が入所者に憎しみを感じ、6割がひもで縛り付けるなどの身体拘束を経験していることが明らかになっており、虐待を防止するためには、法的な整備を含め総合的な取り組みが求められる。

自治体の積極的なかかわり

施設の適切な運営を促すために利用者の聞き取り調査を行うなど、実態の解明を行うのは自治体の責務といえる。一定の状況のもとでは、立ち入り調査などによって命令・指導など迅速な判断をし、改善状況についての確認調査を継続するなど、より強い指導権限が求められる。

開かれた施設に

外部機関による第三者評価が施設の経営者や職員に緊張感を生み、虐待の防止のみならずサービスの質の向上につながることは明らかである。地域やボランティアの人たちと積極的な交流を行っているかも情報公開の一つの手段として重要だ。評議員や理事会の構成メンバーも施設運営の理念や質を判断する要素となる。

職員の労働環境

石川県のグループホームで起きた殺人事件に心を痛めている福祉関係者は多い。パートで夜勤専門、一人で認知症のお年寄りを支えていた。 この事件の背景には、情熱を持って福祉の現場を支えている若い人たちが希望を失っていく現状がある。パートや派遣などが職員の半数以上を占めるようでは、技量や資質の向上をはかるための研修や日常の指導は不可能といってよい。

また、人件費を不当に低く抑えて過剰な余剰金を生み出している法人も多い。ガイドラインを示すなど、職員の処遇改善への努力が求められる。

(薫風第18号より)

「元気実感!予算」スタート

「連携」による自治の推進


平年よりまだ40センチも多いという雪山に囲まれていますが、ようやく春の日差しが感じられる季節になってきました。今年度の第一回定例市議会も3月30日には最終日を迎え、いよいよ新年度予算がスタートします。

上田市長は、「かつて経験したことのない極めて厳しい財政状況の中にあっても、『地域におけるまちづくり活動の推進』『子ども関連施策の充実』『高齢者や障がいのある方の社会参加の促進』など、施政方針の基本理念である『市民自治が息づくまちづくり』を推進するための取り組みについては重点化をはかり、『元気ビジョン』の実現に向けた成果を実感できる予算編成を行った」と、議会冒頭にその所信を明らかにしました。

さらに、市役所の縦割りを取り払うための「部局間の連携」、市民、NPO、企業とともに取り組む「民との連携」、「北海道や近隣自治体との連携」によって、新たな知恵や発想が「集まり、つながり、広がる」まちづくりに取り組むことを宣言しています。

「悪魔の誘惑」を断ち切る

生活保護などの扶助費や国民健康保険料金を軽減するための繰り出し金が増え、また、これまでの都市基盤整備のために行った借金(市債)の返済がピークを迎え、歳出が増えること。歳入では、引き続き厳しい経済雇用環境が続くことが予想され市税収入の伸びが見込めない一方、小泉政権が進める三位一体改革により税源委譲のないまま地方交付税や補助金が削減され、さらには、将来交付税で補填(ほてん)するとされていた市債についても約束が守られるかどうか危うい状況にあることなど、自治体財政はまさに転換点を迎えています。


昨年12月に公表された「財政構造改革プラン」では、05年度に約242億円の収支不足が発生する見込みとされていましたが、事務事業の見直しの前倒しによって143億円、企業会計(交通事業、下水道事業)に対する繰出しの工夫、財政調整基金(貯金)の取り崩しによって何とか解消することができました。しかし、まだまだ厳しい財政運営を迫られることが確実なこれからの5年間、収入の不足を借金でまかなうという「悪魔の誘惑」は何としても断ち切らなければなりません。

いち早く、持続可能な財政構造への転換を進める上田市長とともに、「自治と分権」の時代に果敢に挑戦します。

(薫風第18号より)

中国・韓国で反日感情が高まっている

これまでも、首相の「靖国公式参拝」や閣僚による「歴史認識」などで繰り返されてきたことだが、今年行われる「歴史教科書採択」、さらに韓国は「竹島問題」、中国は「国連安全保障理事会加盟」が、中国両国民そして政府の不快感を増幅させているといえる。

小泉政権が誕生してから、日本と中国の関係は「政令経熱」と言われてきた。北朝鮮をめぐる問題では韓国との溝を深めてきた。相変わらず札束で相手を黙らすたぐいの外交を繰り返し、米国には「従順」に、アジア諸国には「横柄」に振舞う日本。アジアの平和と安全保障を創り上げるパートナーとして、心から信頼されてはいないということだ。

「未来志向」を呼びかけながら、「国家主義」を前面に敵意と憎しみをあおっている小泉、中川、安倍の面々。二枚舌は許されません。

(民主党さっぽろ第388号に掲載)

2005年3月12日土曜日

市議会の傍聴についてのお知らせ

平成17年第1回定例会(平成17年2月16日~3月30日)が開催されています。審議の詳しい内容は週間日程表 http://www.city.sapporo.jp/gikai/ に掲載されています。本会議や委員会は傍聴できますが、予め議会事務局議事課(011-211-3166)に電話をして変更がないか確認してください。

「平成の織田信長」か「金にあかせた企業買収」か?

ライブドアによるニッポン放送株の取得問題が、フジテレビを巻き込んで連日マスメディアをにぎわしている。しかし、ITベンチャー企業とメディアの結合という経営戦略に投げかけられる批判は、道徳や礼儀を知らない、品がないなどの感情論が圧倒的だ。経済のグローバル化が進む中、政府も財界もこぞって合併や統合を推奨してきたはずであり、市場原理主義を唱えてきた。同じ人間の口から「常識」などとわけのわからない理由で、擁護護送船団方式を是認しフジサンケイグループをする発言が繰り返される。これを二枚舌という。株の持ち合いで既得権を守ろうとする巨大メディア複合企業体に挑むドンキホーテは、新たな時代をつくる風雲児となりうるか。目が離せない。

2005年3月8日火曜日

石油をめぐる戦争から自然エネルギーによる平和へ

―アジア太平洋みどりの京都会議から―
地球温暖化防止を目指す「京都議定書」の発効(2月16日)を前に、11日から三日間、20の国・地域からの海外ゲストを含め約400人が参加して「アジア太平洋みどりの京都会議」が開かれた。平和、環境、人権、社会的公正、多様性の尊重を基本理念とする「みどりの政治」を目指す自治体議員のネットワークや市民団体が主催したもので、2001年にオーストラリアで70カ国約800人が参加して確認された「グローバルグリーンズ憲章」に基づき、「もう一つのアジア太平洋」の実現に向けた共同の取り組みを目指す。

一日目に京都国際交流会館で行われたシンポジウム『自然エネルギー2005』では、再生可能エネルギーの必要性と普及に向けた戦略などをテーマに議論が行なわれた。日本ではあまり報道されず注目されていないが、昨年6月にドイツのボンで行なわれた国際会議には154カ国の政府代表を含め3000人以上の経済、市民団体が参加し、国連の枠組みを越えた国際行動プログラムが確認され、地球温暖化防止に向け大きなステップとなったことが報告された。

二日目はキャンパスプラザに場所を移し、3つの分科会と11のワークショップが行なわれた。『市民がつくる平和と安全保障』では、いまだに残る冷戦構造と大戦の影響、軍事基地による環境汚染、大国のはざまの中での自決権などについて報告がされ、「石油をめぐる戦争から自然エネルギーによる平和」への連帯を確認。『アジア太平洋地域の多様性と人権問題』では、多数の圧力の中で問題が隠され続けていること、新たな移民に対する排斥、少数者・先住民の政治プロセスへの参加などの提起を受け、私たちを分断する「境界」を越えた交流と協働を決意した。

人口比わずか4%でエネルギーの40%を消費する米国は京都議定書から離脱し、急速な経済成長が予想されるアジア太平洋地域には世界の人口の5割が集中する。まさに、地球市民としての行動が求められている。「みどりの種を蒔(ま)こう」を合い言葉に、地域からの行動を積み重ねて「持続可能な社会」「もうひとつの政治」を実現しよう。

2005年2月27日日曜日

NHKとは?

公共放送のあり方そのものが問われている。NHKが製作した「従軍慰安婦」の責任を問う国際民衆法廷に関する報道番組が、自民党国会議員の圧力によって改ざんされたことを朝日新聞が報道し、政策にあたったプロデューサーが内部告発の記者会見を行った。これに対し、NHKが「虚偽報道」としてニュース番組で朝日新聞攻撃を行なっている問題である。

圧力のあるなしも重大だが、橋本会長の「与党への番組内容の事前説明は当然」との発言は、「検閲」を認め、みずから「報道の自由」を放棄するに等しい行為である。権力をチェックするべき役割を担うメディアが権力におもね、事実から目をそらす。タカ派議員の圧力に屈して番組を改ざんする。憲法問題以上に危機は深く進行しているのかもしれない。

(機関紙民主党さっぽろ2月25日号のコラムより)

2005年1月20日木曜日

酉年

阪神・淡路大震災から10年。「復興」のかけ声の中、ボランティア元年とも言われ、「ガンバロー神戸」の大合唱が「やさしいニッポン人」を演出した。今、深い悲しみとともに生きてきた被災者の声に耳を澄ます。支えあう社会へと力強く歩む姿と、競争と憎しみの渦巻く社会に翻弄される姿がある。

戦後60年の政治史をひも解いてみる。時の政権の政策選択を決定づけていたのは、安全保障のみならず経済面での米国からの圧力と自民党内の権力闘争であった。その総決算を掲げて登場した「国家」と、連帯と共生の新たな社会像を目指す「市民」が激しくせめぎ合う。

今年は「とり年」。鶏口となるとも牛後となるなかれ。そして、何とか市民革命の夜明けを告げ、鬨(とき)の声を上げる一年にしたいものだ。