2004年11月24日水曜日

歩き疲れては夜空と陸とのすき間にもぐりこんで

表題は山之内獏の詩の一節である。北海道の秋は駆け足で冬に向って突き進んでいくが、天の恵みを感じさせてくれる大切な季節でもある。大地に、空に、雨音に耳を澄ますと、自然が恵みを続けるかけがえのない命が私たちの体に響きわたる。

温泉とグルメが全盛のご時世ではあるが、冬支度とはじめた木立の中の小さなレストランを訪れ、じっくりと煮込んだ秋野菜のシチュー、自家製のパンとチーズそしてワインでゆっくり過ごす小さな贅沢。山羊の鳴き声と暖炉ではねる火の音が時の流れを告げる

繰り返しブーム(=熱狂)が作られ、そしていつの間にか勝手に時計を進めていく。スローライフ。スローフード。自然の声に耳を澄ませて、たまに来た道を振り返ってみよう。

厚生常任委員会から「特養虐待問題」

(大島かおる市議会レポート「薫風17号」からの抜粋)

二人の女性ヘルパーの勇気ある内部告発によって明らかになった、特別養護老人ホーム「ルミエール」(白石区)の虐待問題 。10月1日に調査結果の中間報告を受け、運営実態と今後の対策について質疑を行いました。虐待を指摘されている本人は否定していますが、職員全体に対する聞き取り調査の結果は、暴力行為のみではなく「オムツを取替えない」「着替えの最中に裸で放置する」など、人として尊厳を傷つける行為がひんぱんに裏付けるものとなっています。また、派遣職員や臨時職員の割合が高く職員研修も行われてないなど、運営法人(理事会や施設長)の資質も問われます。

私が介護保険のスタート時から取り組んできた「権利擁護市民福祉オンブズマン」は、このような事件がおきないように利用者と施設の「はしわたし役」を果たしてきました。これまでも繰り返し、施設における虐待発生の潜在的な可能性についての指摘はされています。第三者評価や外部評価の導入についても議会で取り上げてきましたが、利用者も家族も介護の現場で働く人も、安心して任すことのできる制度を創り上げていかなければなりません。

「まちづくり」「市役所改革」「市民自治」元気プランを推進しよう

(大島かおる市議会レポート「薫風17号」からの抜粋)

台風18号は札幌市内においても、死亡者4名をはじめとして大きな爪あとを残しました。被災された方に心からお見舞い申し上げ、復旧に全力を尽くしたいと思います。また、9・11の同時多発テロから3年。ブッシュ大統領が「テロとの全面戦争」を宣言して以降も、テロと武力衝突が続発しています。イラクやアフガニスタンをはじめパレスチナ、そして北オセチア共和国での人質事件。犠牲となった多くの市民に哀悼の意を表し、深い悲しみと共に「武器と力」に拠らない平和への道を、世界の仲間たちと共に歩み行動することをあらためて決意しています。

さて、上田市長は就任直後に市民に約束した「札幌元気ビジョン」の実行編ともいえる、「新まちづくり計画(重点事業編)」「市役所改革」「市民自治維新」の3つのプランを発表しました。

「新まちづくり計画」は、市民と共有するまちづくりの考え方を明らかにするとともに、今後3年間で重点的に進める優先順位の高い事業を厳選して計画化したもの。「市役所改革プラン」は、まちづくりの目標を実現するために、市民との信頼関係の構築や構造改革を目指すもの。「市民自治推進プラン」は、市民と行政、市民と市民との間の共同の仕組みやルールづくりのための基盤整備を行っていくものです。

策定段階から市民参画による議論を踏まえて作られたプランは、市長を含めた「経営改革会議」で推進やチェックを行い、市民会議などによる外部評価も取り入れられることになります。

地方分権への大きな流れを創るものとして期待された三位一体改革や道州制の議論も、財政再編の負担を地方に押しつけようとする政府や官僚の手で、まさに骨抜きにされようとしています。市民サービスの将来像を明らかにしないまま「郵政改革」にうつつをぬかす小泉政権のもとで地方財政はますます厳しさを増し、サービス水準と市民負担のあり方についての議論を避けて通ることはできません。また、失われた10年といわれるように、右肩上がり経済を夢見て改革を先延ばししてきた大きなツケを負わなければならない時代を迎えています。上田市長が掲げる「市民の力みなぎる、文化と誇りあふれる街」の実現に向けて、元気3プランを着実に推進していきます。

2004年11月23日火曜日

米国大統領選挙

(民主党さっぽろ機関紙のコラムから)

香田証生さんがイラクから無言で故郷に帰った日、米国ではブッシュ大統領が再選を果たした。マスコミが実施した世論調査を見る。自衛隊のイラク派遣延長には6割近くが反対するが、逆に、人質事件の犯人グループが求めた「自衛隊の撤退拒否」の姿勢を評価する声は6割を超える。大統領選挙前はケリー氏優勢だったが、ブッシュ再選が決まると、今後の日米関係にとって「良い」と考える人が優位となる。この類の調査の信憑性はさておき、論理的な思考からは遠く自己保身に走りやすいニッポンの姿が垣間見える。

「テロには屈しない」―情報収集さえまともにできない無力無能を巧みにすり替え、「残忍なテロリスト」にその責任のすべてを負わせようとしている小泉首相。私たちは忠犬ポチ公にはなりません。

敵か味方かという二分法

(民主党さっぽろ機関紙のコラムから)

新学期を迎えた朝、理不尽な死への使者たちが突然姿を現した。いくつもの「何故?」への答えは閉ざされたまま、五〇〇名を超える犠牲者と共に惨劇は幕を閉じた。そして、新たな悲しみと怒りが生み出され、憎しみが増幅されていく。ロシア南部・北オセチア共和国で何者かによって引き起こされた無差別テロは、9・11から丸三年、国際社会の大義名分となりつつある「テロとの戦い」の危うさを象徴しているかのように思える。

敵か味方かという二分法は確かにわかりやすい。小泉は敵に「抵抗勢力」の烙印を押し、議論をすることさえ許さない雰囲気をつくり上げてきた。そのことで失われたことの大きさに、国民はようやく気づき始めている。辛く厳しい道であっても、丁寧に議論を積み上げる。民主主義の王道を歩みたい。