2014年4月16日水曜日

大島かおるの市議会リポート

 「薫風第40号から」
「創造都市さっぽろ」への力強い第一歩
―まちづくりの分岐点となる予算案―
定例の朝の街頭宣伝 地下鉄琴似駅 

2014年第1回定例市議会は2月14日に召集され、上田市長は過去最高となる一般会計8848億円を含めて、総額1兆5363億円の予算案を提出しました。上田市長は所信表明の中で、市長就任以来、ごみ減量や節電など市民生活に直結する重要課題に対し、「市民と共に考え、共に悩みながら、一つ一つ乗り越えてきた」とし、今後到来する人口減少や超高齢社会という時代の大きな転換点を乗り切り、新たなエネルギー社会を構築するために、「市民一人ひとりの創造性を生かし『市民力』を発揮して、自らの手で新たな時代の扉を開いていく」との決意を明らかにしました。

10年後を目指したまちづくり事業のスタート

予算編成のポイントとして
①喫緊の課題である保育所待機児童ゼロ、②都市機能の集約と公共交通ネットワークの連携による持続可能な集約連携都市への投資、③国際芸術祭開催と関連事業の積極的展開、④民間活動を誘発する「きっかけづくり」を意識した行政の取り組みを挙げています。

「札幌市まちづくり戦略ビジョン」が本格的に始動する年であり、「創造都市さっぽろ」へ第一歩を踏み出すという、まちづくりの分岐点に立って、力強いスタートダッシュを切るための積極的な予算編成といえます。

一方、これからのまちづくりを支える財政環境は、景気の緩やかな持ち直しにより、市税等の収入増が見込まれるものの、社会保障費の増加とともに変化する社会経済情勢に向けて、的確に対応するための新たな財源が必要とされ、厳しい状況が続くことが予想されます。

上田市長は、就任時に2兆1892億円あった市債残高を4574億円減らすなど、財政健全化(=未来を担う子どもたちに過大なツケを残さない)に取り組んできましたが、来年度予算で生ずる239億円の財源不足は、事務事業の見直しにより198億円、財政調整基金から41億円の取り崩しで補てんされることになります。

『生活大国』とは!?

ここからは、有名なコラム二ストである天野祐吉さんの遺言ともいえる新書「成長から成熟へ―さよなら経済大国」からの受け売りです。

その一・・・「生活大国5カ年計画」が打ち出されたのは、1993年の宮沢喜一内閣の時代。それから20年が経って、この国はいまだに「経済成長」への夢を捨てられずにいます。敗戦後の「貧乏暇なし国」から、アメリカに追いつき追い越せで「金持ち暇なし国」へ。これから向かうのは「金持ち暇あり国」かそれとも「貧乏暇あり国」か。

その二・・・昔の中国の皇帝は画家や陶芸家のランクをつけるのに、一等を一品といったそうです。天下一品を思い浮かべてください。以下、二等は二品、三等は三品。しかし、普通のモノサシでは測れない、個性的で優れているものは「絶品」とか「別品」として認めました。「一等じゃなきゃダメなんですか?」と迫った人がいましたが、一位や二位を争うより「別品」を目指してはいけませんか!?

代表質問から
民主党・市民連合からは、長谷川衛氏、村上ゆうこ氏が代表質問に立ち、予算案を含め市政の重要課題について、計16項目にわたり市の考えをただしました。

財政問題
将来世代の負担に配慮
議案説明を行う上田市長 

今年度予算案は史上最大規模となり、また、建設事業費が10年ぶりに1000億円を超えました。地方交付税の減少を補うための借金である臨時財政対策債が増加しており、中期財政計画の見通しでも、引き続き年200億程度の財源不足が見込まれるなど、今後の財政運営への影響が心配されます。

「まちづくり戦略ビジョン」に掲げる3つのテーマへの重点的な配分や、行財政改革推進プランに示された指標を守るなど、将来世代へ過度な負担を残さないよう配慮し、時代の要請にしっかりと応えていくことが必要です。

また、人口構造の変化や老朽化が進む市有建築物への対応や課題に取り組むためには、さらなる事業の選択と共に、民間活動を誘発するきっかけづくりを進めるなど、新たな発想による行財政改革が求められます。

エネルギー政策
脱原発依存社会へ

札幌市では08年の「環境首都さっぽろ宣言」以来、循環型社会の実現を目指して歩みを進めてきました。さらに福島第一原発の大事故を教訓として、脱原発依存社会の実現が新たな目標に加わりました。市内の太陽光発電設備は2年間で二倍以上に増加し、夏・冬の電力不足も市民力の結集によって乗り切ることができました。

現在、2年間にわたって行なわれた基礎調査をもとに、原子力発電相当分を再生可能エネルギーや分散電源の導入拡大、省エネルギーの推進により転換していく、新たな「札幌市エネルギー基本計画」を策定中であり、札幌の将来像を見据えた息の長い取り組みが必要です。
高断熱住宅技術やコ・ジェネレーションの普及促進、都心部の効率的な熱エネルギー供給、市有施設のエネルギーマネジメントなど新たな挑戦が続きます。

地域包括ケア
住み慣れた地域で暮らす


介護保険制度がスタートして10年、札幌市の高齢化率は、昨年7月1日現在では全国平均を下回る22・3%ですが、2025年には31・7%になると推計されます。このような中、介護・医療・住まい・生活支援・介護予防が一体的に提供される「地域包括ケアシステム」の構築が必要であるとされていますが、その実現には多くの課題があります。
現在、地域包括センターが中心となって、介護や医療に関わる関係者とのネットワークを創るため「地域ケア会議」が開催されており、地域の課題を把握する上で重要な役割を果たしています。

次期介護保険事業計画の作成に向けて、地域ケア会議の機能を十分に発揮できる体制づくりと、在宅医療・介護連携の推進や介護事業者の支援など、役割強化が求められる地域包括支援センターの体制拡充が求められます。

路面電車のループ化
安全対策の拡充を


すすきの駅から札幌駅前通を経由して西4丁目駅をつなぐ、路面電車のループ化工事が、15年春の開業を目指していよいよ本格的に始まります。日本で初めて、電車が歩道側を走行する「サイドリザベーション方式」が取り入れられ、利用者の乗り降りは便利になる一方、道路の中央を電車が走る環境に慣れているドライバーや歩行者への安全対策が必要となります。
 
タクシー乗り場や荷捌(さば)き車両の対策については、昨年から実証実験が積み重ねられてきました。今後、舗装のカラー化や歩行者の飛び出し防止のためのプランター設置に加えて、安全運転の啓発や関係ドライバー向けの講習、安全運転教室の開催などの安全対策が進められます。
 
また、路面電車沿線では、札幌らしい魅力的な都市景観を形成することが必要なことから、「札幌市景観計画」の見直し作業に合わせて、地域ごとに特徴のある景観づくりの方向性や実現方策について検討されることになります。

教育振興基本計画
子どもたちの健やかな成長を


子どもたちの学校生活の中で大きな役割を果たしている部活動ですが、少子化による学級減の影響で、顧問教師の不足や公務の多忙化により、希望する部活動ができない状況が増えています。
 
地域人材や外部指導者の活用など社会体育との連携や、顧問教師の負担軽減について、保護者、有識者、中体連、観光文化局スポーツ部などで構成する「運動部活動のあり方検討会」の中で、具体的な検討が行われます。
 
また、市内の不登校児童生徒数は若干減少しているものの依然として多く、要因も多様化しています。市はスクールカウンセラーや心のサポーターの配置、4カ所の相談指導学級、さらには、来年度から2カ所目の教育支援センターを開設するなど、不登校の未然防止や早期対応に取り組んでいます。
 
一人ひとりの子どもの状況に応じた不登校対応プログラムの構築や、若者支援総合センターなどとの連携によって、中学卒業後の社会的自立を支援するなど新たな施策が行われます。

消費者教育の推進
被害の未然防止へ


外食産業のメニュー誤表記、リコール製品などの情報提供の遅れ、情報化の進展によるネットトラブルなど、消費生活に関わる問題はますます複雑化しています。GDPの6割を個人消費支出が占める時代となり、一人ひとりの消費行動が、経済や社会に大きな影響を与える時代であるともいえます。
 
こうしたことから2012年12月に「消費者教育の推進に関する法律」が施行され、札幌市も今秋の完成を目標に「消費者教育推進計画」策定に向けた検討が行われています。
 
各年代や、学校・地域・職域などの場に応じて、消費生活に関する教育や情報提供を行なっていくことや、消費者センターや教育委員会はもとより、消費者団体、事業者団体など、地域の多様な担い手との協力体制が課題とされています。

地域カルテマップ
地域まちづくりの道具に

 
2011年11月に公開された「地域カルテマップ」は、地域に関する統計資料を整理したもので、これまでに述べ93の連合町内会や単位町内会でのワークショップや勉強会で活用されています。
 
今後ますます多様化する地域課題の解決のためには、市民議論やまちづくり活動の活性化が求められ、そのために自分たちが暮らす地域の将来像を把握することがより重要になってきます。
 
来年度公表が予定されている改訂版では、まちづくりセンター区域ごとの将来人口推計のほか、住宅形態、医療・福祉、商業施設などを追加し、これから想定される地域課題の分析もおこない、より充実が図られます。

上田市長に予算要望書を提出 


3・11から3年
―記憶を刻み込む―

東日本大震災と福島第一原発の大事故から3年を迎えて、テレビ・新聞などで数多くの特集番組を目に しました。新たな歩みに力強く踏み出している人。3年前から時間が止まったままの人。希望をもちながらも将来に不安を抱えている人。時の経過とともに戸惑 い苛立っている人。それぞれの姿が映し出されています。そして、3年が経って初めて見えてくることがあります。

復興とは何か

震 災復興に5年間で25兆円(安倍政権で5兆円上乗せ)―本当に生活再建に役立っているのでしょうか。民主党政権下では「復興事業は、人口減少・超高齢社会 へ向かう日本社会のモデルとする」、「過大な防災計画よりも減災対策にシフトする」との目標が掲げられました。しかし、「国土強じん化」の掛け声のもと無 残に忘れ去られ、「土建国家」復活へのレールが敷かれているように感じます。
 
巨額の復興事業が、今また東京に吸い取られていきます。「東北はまだ植民地だったのか」―苦悩の声に耳を傾け続けたいと思います。

分断される「フクシマ」
 
福島県の地図と放射能汚染図をもう一度重ねてみてください。いわゆる「浜通り」の人々にとって、JR常磐線と国道6号線は、北隣の宮城県と南隣の茨城県とにつながり、ヒト・モノが行き交う大動脈です。しかし、放射能汚染はこれからも見事に遮断し続けることになります。
 
事故によって故郷と切り離され、長引く避難生活によって地域が分断され、そして避難先で孤立する人や、移住を決断する人―私たちの想像力が試されているのではないでしょうか。

 
アベノミクスに浮かれ、原発再稼動に走り「フクシマ」の記憶をしまいこむ。
そんな記憶だけは残したくありません。