2010年8月19日木曜日

薫風33号

大島かおるの市議会リポート
薫風33号より(2010年5月20日発行)

「創造都市」さっぽろへ
上田市長二期目、最後の本格予算がスタート
今年度の第一回定例市議会は3月30日に閉会し、一般会計、補正予算合わせて約8325億円の事業が4月から執行されます。
上田市長は、予算の提案にあたり、昨年7月から実施された家庭ごみ収集体制の変更によって、ごみ減量が飛躍的に進み、篠路清掃工場の運転休止が3年前倒しされたことに触れて、「まさに市民自治の力を示したもの」とし、「次世代に良好な環境を整え、新しい札幌を創造する」との決意を述べています。 前年対比4・4%増とはいえ、依然厳しい財政状況が続くことが予想され、「選択と集中」への取り組みをさらに進めていかなければなりません。


間断のない経済・雇用対策  
普通建設事業費では、既存施設の維持・修繕などの小規模工事や、バリアフリー、環境などの事業を拡大することで、前年度を上回る726億円の事業量を確保し、市の臨時職員として100名を採用するなど、1028人の雇用機会を確保します。また、省エネやバリアフリーに関わる住宅リフォームの補助制度や、商店街のクーポン券付きPR誌作成への助成など、札幌の経済を支える中小企業を支援します。

福祉の充実、暮らしへの支援
待機児童解消のために保育所定員を大幅拡大(820人)し、政令市では初めて、乳幼児のヒブによる髄膜炎などの重感染症を予防するワクチン接種への助成を行います。
地下鉄全駅にエレベーターの設置が完了し、JR駅や歩道のバリアフリー化のペースアップを図ります。また、10区の税務部を5カ所の市税事務所として統合・集約して、収納対策の強化と、区役所窓口の利便性、快適性の向上を図ります。

「環境首都・札幌」への大きな一歩
小中高37校、札幌ドーム、中央図書館、保育所などに太陽光発電を設置(約800kW)。
清田区役所など9施設、街路灯・公園灯約3千灯をLED化(4年間で1万2千灯に拡大)。
さらに、木質ペレットストーブの普及、高断熱・高気密仕様住宅(パッシフハウス)に関する調査研究、太陽光パネルや省エネ給湯器の導入補助など、エコ市役所、エコタウンを目指します。

札幌市の魅力発信
創成川アンダーパスの連続化工事が完成し、地上部が水とみどりを生かした親水公園へと生まれ変わります。
また、来年3月には札幌駅前通地下歩行空間がようやく完成し、多様な情報を発信する大型映像装置などが設置され、地下鉄大通駅からバスセンター前駅のコンコースを「500メートル美術館」とする環境整備など、新たな創造空間が生まれます。  
このような札幌の魅力を内外に発信するため、コンベンションをはじめ、展示会や企業ミーティングの誘致強化や、中国・韓国へのPR活動、国際芸術展開催の検討など、シティプロモートを強化します。

独自施策で雇用創出を
緊急雇用対策事業  
新年度がスタートし、就職氷河期といわれる厳しい状況の中、若者たちが新たな思いを胸に社会人の仲間入りをしました。
しかし、厚生労働省の発表では、今年2月時点での就職内定率は、大学生が80・0%、高校生が81・1%と過去最低となっており、道内はさらに低く、不安を抱えたままで卒業し4月を迎えた若者が多いのも事実です。何よりも景気の回復が望まれますが、自治体独自の工夫による対策が求められています。札幌市は国の「重点分野雇用創造事業」を活かして、新たな事業に取り組みます。

人材派遣会社と連携
就職の決まっていない大学・短大・高専・専門学校の卒業生を対象に、150人を5月から半年間雇用して企業実習やビジネスマナーの研修などを行い、早期の就職に結びつける「ジョブスタートプログラム」が始まります。
人材派遣会社が行うことにより、求職情報も得られやすく、本人の希望や特性を生かした就職につながることが期待されます。

まちづくりの人材育成
地域の課題や市民のニーズが多様化する中で、その解決には行政だけではなく地域で活動するNPOや町内会などの力が必要です。
地域活性化や人材育成のモデル事業に取り組みます。  
「地域のまちづくりサポーター雇用創出事業」は、高齢化や担い手不足に悩む町内会に、地域のまちづくり活動を支援する助っ人を派遣します。  
「地域密着型雇用創出事業」は、子育て、介護、環境など8分野の社会的事業の解決を目指す事業を、NPOからの企画提案を受けて実施します。  
「新しい公共の担い手事業」は、市内に約700あるNPOの活動内容を把握し、企業との連携が可能な団体を発掘します。

NPOの活用
「デザイン系人材育成研修事業」は、施設デザインや商品デザインなどの実践的な技術習得のため、「都市型農業人材育成研修事業」は、農業未経験者に対して、野菜や花卉などの都市型農業の基礎的な技術を習得するための研修を、いずれもNPO法人が実施します。  
「地域資源コーディネーター養成事業」は、NPOへの就労を通じて地域資源コーディネーターとしての能力を高め、経理や労務管理などの基礎的な知識を養います。

たゆまぬ行政改革への一里塚
【6月に「事業仕分け」を実施】
札幌市はこれまで行ってきた行政評価の成果を踏まえ、今年6月から7月にかけて「市民参加を一層推進し市政に関する透明性を高める」ため、公開の場で市民が直接事業仕分けを行う「市民評価」を実施します。結果は、来年度予算はもちろん次期の行財政改革プランにも活かされることになりますが、自治体の事業は市民生活と直接結びつくものであり、多くの市民の理解が得られるよう、できるだけわかりやすい方法で行う必要があります。

本来の目的は行政改革
国の「事業仕分け」は、歳出削減の切り札のように扱われましたが、本来の目的は行政改革にあります。
一つの事業の必要性を議論する中で背後にある組織や制度を洗い直し、「地域主権」の時代にふさわしい、自治体職員や市民の意識改革を促すことであるといえます。
対象となるおよそ100事業の選定に当たっては、市民の意向を評価に反映させるため、2月に実施された「市民満足度調査」の結果を参考にするなどの工夫がされ ます。

市民参加で課題を明確に
「市民評価」は、1班7名の3班体制で4日間、1事業あたり約45分かけて行われます。

仕分け人は各班に学識経験者2名、無作為抽出した千人の中から選ばれた市民4人、さらにコーディネーター1名が配置され、仕分け人には事業内容の事前の説明が行われます。
また、傍聴者にも資料の配布を行い、仕分け後には市民意見の募集が行われます。
「事業仕分け」は公開の場での議論や、議論を通じて課題や問題点を明らかにすることの大切さを気づかせてくれるのと同時に、国の制度や事業の仕組みについての課題も見えてくるはずです。

問われる大都市の未来像
成熟社会に対応したまちづくり戦略を

札幌市に限らず日本の大都市は、経済成長とともに人口が増加し、都市機能も拡大することで発展を続けてきました。しかし、少子高齢化の急速な進展や価値観やライフスタイルの多様化など、経済・社会構造の大きな変化は大都市の存立そのものを脅かし始めています。
これまでのような行政主導の画一的なまちづくりに頼っていては、衰退の道を歩むよりほかはありません。支店経済と言われながらも、札幌は流通・消費都市として発展を遂げ、独自の都市文化を育ててきました。明確な将来像を示し、課題を市民と共有し知恵を出し合うことが求められます。

札幌の魅力を発信する都心
都心は「道都さっぽろの顔」であり、世界に札幌の魅力を発信し続ける大切な空間です。
にぎわいと楽しさを味わうことのできる駅前通、みどりと多様な活動の場である大通公園、新たな水辺空間としてやすらぎを提供する創成川通、歴史的価値を継承し新たな魅力を創出する北三条通。四つの骨格軸を中心とした「都心まちづくり戦略」の策定が進められています。
90年には「第4次長期総合計画」が、92年には「都心まちづくり計画」が策定され、長期的な構想の下に進められてきた都市基盤の整備も、社会情勢の変化や、
新たなまちづくりの方向性に対応した、戦略的な計画へと転換していかなければなりません。

都市の魅力を高める路面電車
自家用車の普及に伴い邪魔者扱いされてきた路面電車ですが、最近は国内でも、都市の活力や環境負荷の低減、高齢者をはじめとする交通弱者の移動利便性の確保などによってその良さが見直され始めています。一方、老朽化した施設・設備を更新するためには多額の費用が必要なことから、存続についての論議が積み重ねられてきました。  
今後は、「都心のまちづくり」や「環境対策」、さらに「観光とコンベンションの振興」への活用が期待される路線延伸に向けた検討が行われます。
経営基盤の強化や費用負担のあり方など、十分な市民論議が必要ですが、LRT(新型低床車両)が走るまちづくりをスタートしたいものです。

★現任期の最終年度が始まりました。★
引き続き、議会運営委員長の重責を担うと共に、昨年から議会選出の農業委員として、後継者難や耕作放棄地の増加に悩む農業の現実と向き合い勉強をしています。
常任委員会は初めて、経済局、観光文化局、市立病院を所管する経済委員会に所属することになりました。中小企業の振興や雇用対策、地産地消への取り組み、藻岩山再整備計画、カーリング場建設の検討、シティプロモート、病院事業では経営の健全化と精神病棟建設など、多くの課題がありますが、皆さんの期待に応えることができるように頑張ります。
引き続きよろしくお願いします。

地域での雇用創出につながる環境産業
スーパーエコタウン事業を視察
民主党・市民連合は4月15日(木)〜17日(金)の日程で政策審議会メンバーを中心に、東京都で行っているスーパーエコタウン事業を視察しました。
この事業は、国の都市再生プロジェクトの一環として2002年に開始され、城南島地区と中央防波堤内側埋立地区に計9社のリサイクル施設が稼動しています。
いずれも公募によって選定され、用地の取得、施設の整備・運営は事業者の責任で行われています。
私たちは、国も注目しており、3月には鳩山由紀夫総理大臣も視察に訪れたという、城南島地区のバイオエナジー株式会社と株式会社リーテムの2社を視察しました。

「生ゴミがエネルギーに
最初に訪れたバイオエナジー社は、従来、不適物が混入して焼却処理をせざるを得なかった生ゴミの中から独自の方法で食品廃棄物だけを取り出してメタンガスを発生させ、燃料電池とガスエンジンを組み合わせた「コジェネレーションシステム」により、1日で約24000kWh(約2400世帯の電気量に
相当する)の発電を行っています。
そのうち約60%は電力会社に売電をし、残りは自家消費されて、工場で使われている電力はすべてまかなわれています。
これによるCO2の削減効果は年間で約5000トンということでした。  
また、当初予定していた生ゴミのカロリーより、実際の生ゴミが高カロリーで、余剰ガスをただ燃やしている状態のため、精製して、東京ガスに売る計画を進めて いるとのことです。
札幌市も今後のごみ対策においては、家庭系・事業系ともに生ゴミの減量対策とリサイクルが大きな課題です。
堆肥化して循環型社会を目指すことは大事な取り組みですが、分別や管理、利用先の確保が大きなネックとなり、なかなか進まないのが現実です。
大都市においては、このような形での生ゴミの循環型リサイクルが非常に有効な方法であることを実感しました。

「埋め立てゼロの実現
続いて訪れたリーテム社は、使用済みの電気・通信機器類などを受け入れて、分解をし、選別され、適切な処理を行った後、高純度の原料回収をしています。  
破砕処理されたものはすべて原料として生まれ変わり、出荷・利用できるため「ゼロ・エミッション(埋め立てゼロのこと)」も実現できるとのことです。  
また、ほとんどの資源を輸入に頼っている日本では、資源の再利用、特にレアメタル(希少金属)の回収は、重要な課題です。
さらに、茨城県水戸市で誕生し、昨年には中国江蘇省に工場を新設したという成長性には、目を見張るものがあります。  
先日の新聞報道で、北海道がこのレアメタルの収集について実証実験を行う記事がありましたが、現在、回収ルートは全国にまたがっているとのことです。
電気、電信機器の製造会社が協力して、せめて都道府県単位にこのような施設が展開されれば、運搬コストの大幅な削減と同時に地域での新たな雇用につながる のではないでしょうか。