2008年11月7日金曜日

大島かおるの市議会リポート 

「薫風」第29号から
第三回定例市議会
  子どもの権利条例成立へ
解散総選挙を巡って政局が緊迫する中、9月22日から第三回定例市議会がスタートしました。
上田市長は提案説明の冒頭に「厚別区・白石区のバス路線問題にあたり市民の足であるバス路線は守られたものの、その経緯の中で、議会や市民に大きな混乱と不安を与えてしまったことは遺憾であった」と陳謝し、産婦人科二次救急医療体制の再構築と、乳幼児入院医療助成を小学生まで拡大するための費用、家庭ごみ収集一部有料化に向けた整備費など総額15 億円余の補正予算を含め、議案34件を提案しました。上田市政の二期目も1年半が過ぎようとしており、マニュフェストの達成と「第二次新まちづくり計画」の事業実現に全力で取り組みます。

生活支援の緊急対策を
原油価格の暴騰による、灯油をはじめ食料品や日用品の価格上昇は、市民生活や産業活動に大きな負担を強いています。さらに、アメリカ発の金融不安に端を発した世界同時株安は、日本経済に大きな打撃となる可能性が指摘されています。しかし、国の「安心実現のための緊急総合対策」や補正予算が有効な手立てとなるのかは、きわめて疑問と言わざるを得ません。市は既に、上田市長を本部長とする「特別対策本部」を設置して、「市民生活を守るため、生活関連商品の価格監視を強めるとともに、全庁挙げて取り組む」との強い決意を示しています。とりわけ本格的な需要期を迎える灯油については、「あったか応援資金」や中小企業に対する緊急融資の充実など、早めの対応策を求めていきます。

条例の正しい理解を
第二回定例市議会では土壇場で継続審議とされた「子どもの権利条例」は、名称を「子どもの最善の利益を実現するための権利条例」とし、条文は原案のまま10 月7日に開かれた文教委員会で可決され、成立する見通しとなりました。自民・公明の政治的な思惑から引き伸ばされ、多くの市民がその行方を注視していた市長公約の一つが、ようやく実現することになります。しかし、文教委員会の条例審議及び陳情審査では、相変わらず誤解や偏見による反対論が相次ぎました。既に制定された自治体では、まちづくりの上でも貴重な役割を果たしていることが明らかになっています。条例に対する正しい理解の下で、子ども、親、学校、地域、行政がそれぞれの立場で子どもの意見表明の場づくりや、救済帰還運営を目指すことが求められます。

第三回定例市議会
 代表質問から

入札制度改革
    地元企業の受注機会拡大を
入札に関しては、談合から低価格落札、くじ引き落札など多くの課題がありますが、なかなか決定打がないというのも現実です。入札価格が下がれば市の財政にもプラスとなりますが、様々な弊害が生じることも指摘されています。民主党では除雪や障害者雇用、労働条件など企業の内部努力を評価する「総合評価入札制度」の必要性を訴えてきました。国では経営規模審査基準を改正し、工事内容に関する技術点評価や地域特性を踏まえた社会貢献を評価するなど、自治体が行う主観点評価の見直しが求められています。市は除排雪事業への従事や福祉除雪への参加、少子化対策への取り組み、ISOの取得や工事成績評点などを考えていることを明らかにしました。資材の調達や役務の入札についても、出来得る限り地元業者が受注できるような取り組みを進めていきます。

障がい者の地域生活
    交通費助成見直しを延期
市が示している見直し案は「福祉乗車証を廃止し、助成上限額を一律に削減していることから、当事者や家族、関係団体など多くの方から反対や不安の声が寄せられている」として「当事者の声に耳を傾け市民の理解を得るためにも、さらに時間をかけた慎重な議論が必要」と指摘したのに対し、「広く理解を得られるより望ましい制度として2010年からのスタートを目指す」と、実施時期の延期を表明しました。また、地域生活支援策の充実については、相談支援事業所を今年10 月から新たに二カ所増設し、2011年度までには17 カ所に拡充するとし、新たに市内約30カ所に虐待通報窓口を設置することが明らかにされました。

雪対策
   (仮称)雪条例で役割などを明文化
除排雪作業を効率的に進める上で問題となっている、路上駐車や道路への雪出しを防止するためには、市民、企業、行政がそれぞれ果たすべき役割や責任を明確にする必要があります。ルール違反に対する罰則を定めることについては、法律との整合性や実効性など、解決すべき課題がありますが、条例制定に向けての市民議論を深めていきます。狭小の生活道路では機械除雪が困難な地域も多いことから、市内に7カ所ある流雪溝を活用しての解決策を提案しました。処理能力や運搬方法などを検証の上、実現に向けて、管理主体である運営協議会との調整を行っていくことになります。

指定管理者制度
   安定的なサービスの提供を
2006年に本格導入された指定管理者制度によって、札幌市内507の公の施設中約80%に当たる405施設が指定管理者によって運営されています。民間事業者の参入によって、サービスの質の向上や新たなメニューの提供など一定の成果も見られますが、指定管理者が途中で倒産したり、4年毎の公募が原則のため職員の身分が安定しないなど、当初から懸念されてきた課題が明らかになってきています。2年後の一斉更新に向けて、検証と見直しをしっかりと行い、安定的なサービスが持続するような制度設計を行うことを求めました。また、施設の性格や役割についてもきめ細かく検討をした上で、事業の継続性や長期的な人材育成の必要性などを見極め、公募と非公募のあり方についても、再検討が必要と考えます。

市民交流複合施設
    多目的大ホール三館体制
これまで市内には「札幌市民会館(1500席)」「教育文化会館(1100席)」「厚生年金会館(2200席)」の三つの多目的大ホールが、それぞれ利用者のニーズに沿って高い稼働率で運営されてきました。しかし、市民会館が耐震強度不足から建て替え、厚生年金会館が国の方針で売却、さらに新たな市民交流複合施設計画がようやく明らかになる中で、「なぜ四つも大ホールが必要なの?」と、市民の間に混乱が生じています。厚生年金会館は、文化団体や音楽関係者が14 万人もの署名を集めるなど、存続を願う市民の熱い思いがある一方、北海道や商工会議所と共同で取得する道は閉ざされています。3館体制の維持は、芸術、文化の振興や市民交流の拠点として必要との考えから市が入札に参加することを決定、市民交流複合施設完成の際はその機能を継承するとの考えが示されました。北1条西1丁目に建設予定の市民交流複合施設は、これまでその機能についての市民議論を進めてきましたが、今後は2015年竣工を目標に、民間を含めた再開発事業として施設計画や資金計画の詳細な検討を進めていくことになります。

G8サミット
    貴重な経験を生かしたまちづくり
G8北海道洞爺湖サミットでは、胡錦濤国家主席をはじめ10 カ国の首脳、潘基文国連事務総長はじめ4人の国際機関の長が一度に滞在するという貴重な経験を得るとともに、メディアを通じて札幌の魅力を発信することができました。また、国内外のNGOが集う国際会議の数多く開催されました。この成果を、国際会議の誘致をはじめ、国際観光コンベンション都市づくりに生かしていかなければなりません。また、「環境首都さっぽろ」を実践する若い世代を育てていくために、国際協力機構JICAや在札外国公館との連携や、外国籍市民の協力による地域での交流事業を推進し、環境意識や国際理解を深めていくことを提案しました。恵まれた自然環境と豊かな食材はもちろん、それを守り育てていこうとする市民の活動を世界に発信することも重要な課題となります。

円山動物園
    入園者100万人を目標に
今年8月に「円山動物園基本計画」が策定され、ソフト重視の考え方と動物の飼育環境を重視した考え方が全面に盛り込まれるなど、動物園の再生に向けて着実に歩みだしました。マスコミの登場回数も増え、入園者数も増加に転じています。しかし、円山原生林に囲まれているために敷地に余裕がないことが、再整備の課題とされてきました。一方、西門の近くにある「子どもの国キッズランド」は、中島公園から移転して約10 年が経過して老朽化が進み、遊具を更新しようにも現在のスペースでは困難といわれています。キッズランドを廃止し、生き生きとした動物の姿を展示できるよう計画を進めることが望まれます。3年後に開設60周年を迎える動物園は、2011年までを集中取り組み期間と位置づけ、新しい動物の導入や動物舎の建設、イベントの企画により、入園者100万人を目指すことになります。

救急医療体制

    医師会などと連携した取り組みを
札幌市産婦人科医会が、医師の負担が大きいとして二次救急医療から撤退する意向を示していた問題は、10 月から夜間救急センターの相談窓口に看護師か助産師の2名を、1月からは医師を配置して、利用状況を把握・分析し、さらに今後の体制確立に向けた論議を重ねていくこととなりました。札幌のような大都市でも、医師の不足や、過酷な勤務条件、経営面の負担が大きいことなどから、現在の救急医療体制を継続するのは困難な状況が生まれています。医師の確保や勤務環境の改善に向けて、医師会など関係団体と連携して支援策を強化するともに、救急車や救急医療機関の適正利用についての市民啓発が求められます。

バス路線問題
    市民の足を守るために何が必要か!?
リード白石営業所管内のバス路線廃止問題は、結局、中央バスによる継続運行で一件落着したかのようですが、安定したバスネットワークを維持していくための課題も浮き彫りになったといえます。

規制緩和がもたらしたもの今回の事態の根本原因は、04年2月に実施された規制緩和にあります。改正道路運送法によって、バス事業者の路線参入と廃止は原則自由とされ、国からの補助金も廃止されました。自由競争の名の下に、国は、公共交通機関としての路線バス(=市民の足)を守る責任を「まる投げ」し、事業者、自治体そして利用者にとって苦難の時代が始まったのです。
   混乱の原因は何か
まず、中央バスが市営バスからの路線委譲の際に市と行った、「当分の間、路線を維持し営業所用地を買い取る」という合意を守ることができず、市との協議の最中に北海道運輸局に「廃止届け」を行ったことです。一方、市は路線廃止が今年12 月とされていることから、混乱回避を最優先して後継事業者をJR北海道バスと決定、併せて19 億円の初期投資と委託費が必要であることを議会に報告しました。しかし、経過や経費負担の説明が不十分なことから市民の反響は大きく、結果として中央バスの廃止届けは撤回され、路線は維持されることになりました。バス路線維持に向けた基本的なルール作りを怠ってきたツケが回ってきたといえます。
   公平・透明なルールづくり
赤字路線であっても、地域の足を守るためには税金を投入することが必要です。私たちはこれまで、公共交通としてのバス路線が安定的に運行できるよう、補助制度や路線の見直し、補助金の算定に当たっては、利用者や有識者を含めた協議機関を設置し、公平性と透明性を確保することを求めてきました。市の責任と役割を明確にし、今後の交渉や検討を、議会や市民にオープンに進めることが、市民の信頼を回復する早道ではないでしょうか。

JR発寒駅にエレベーター設置へ
ここ数年の乗降客の急増によりバリアフリー化が望まれていたJR発寒駅に、ようやくエレベーターが実現します。まず、来年度に敷地に余裕のある駅南側の交通広場に設置し、北側については、不足している駐輪場用地と合わせて、新たな敷地が確保でき次第取り組まれることになります。また、JR発寒中央駅については、JRの責任による駅舎の改築か、札幌市が主体となる自由通路の設置が条件となります。現状では、必要な空間を確保することは困難なことから、駅周辺地域の土地利用と一体的な検討が課題とされています。