2005年7月23日土曜日

一衣帯水の国、中国と向き合う

「政冷経熱」と言われ、「靖国問題」が歴史認識を問い続け、「反日デモ」への対応が日本と中国双方の苛立ちを深める。中国=危険そして嫌いというイメージが蔓延する中、国交回復以前から40年にわたって民間交流を行っている日中友好協会の仲間とともに、上海、桂林、陽朔、広州、深圳を訪れる機会を得た。

2010年の万国博覧会開催に向け、バブル期の東京を思わせる開発ラッシュの上海。水墨画の世界と巨大な鍾乳洞を中心に国際観光都市としてにぎわう桂林。灕江下り終着点の陽朔ではサッカーボールと学用品のプレゼントを携えて老梧希望小学校を訪問し、子どもたちと交流。古くからの交易都市である落ち着いた街並みの広州。広東省人民対外友好協会への公式訪問では、黄子強会長らの歓迎を受ける。広州と香港に挟まれ新興都市として発展する深圳。ほんの一部ではあれ、現代中国を肌で感じ、かいま見る実りの多い旅となった。驚異的なスピードで進められる都市の近代化と、時代から取り残されたかのように貧しくゆっくりとした時を刻む農村部。しかし、ここ数年の国内旅行ブームは、高速道路や航空網の整備とともに、農家の所得水準を着実に押し上げていることを示している。市場経済への移行に伴う様々な矛盾を抱えながらも、アジアの超大国へと歩みを進める熱い息吹きは、私たち訪れる者を圧倒する。

1972年にようやく国交が回復してから30有余年、一衣帯水(一筋の帯のように細く長く続く川や海峡を隔てて隣り合う関係)―中国と日本の関係はこのようにたとえられてきた。めまぐるしい発展と変貌を遂げる中国と、停滞を余儀なくされている日本。 56民族、13億人の人口を擁し、10年後には日本をしのぐ経済力をつけることが予想される中国は今、その成長を背景に日本との対等な関係を求め始めているのではないだろうか。

靖国問題をはじめとする歴史認識、安全保障理事国入りをめぐる軋轢(あつれき)、「政府首脳の言動に驕(おご)りはないのか」「アジアの平和と安定に何をもって寄与するのか」―アジア各国の指導者たちは、圧倒的な経済力によってアジアの覇者として振る舞ってきた日本に対する苛立ちを率直に表現し始めている。単独行動主義に傾斜するアメリカ一辺倒の外交政策を踏襲して世界の孤児となるのか、アジアの仲間として共通の目標をつくりあげる粘り強い努力を積み重ねて、日本国憲法前文にある「名誉ある地位を占める」ことを目指すのか。私たちの針路が問われている。

(薫風第19号より)